中東情勢が危機的状況にある中、ガソリンの市況価格は毎日155億円ともいわれる補助金投入によりなんとか全国平均レギュラー170円台/Lで収まっている。しかし政府の補助金はいつまで維持されるかも不透明で、そもそも広く長く補助金を投入し続けることにも功罪があって、「次の値上げ」はいつ来てもおかしくない状況だ。だが、嘆く前に世のドライバーたちにはやれることがある。普段の運転やちょっとしたメンテナンスを見直すだけで、燃費は確実に改善(つまりガソリン代節約)できる。しかも省燃費運転は安全運転とほぼイコールだ。ここでは「今日の帰り道から使える」実践テクニックを、数字の根拠とともにまとめた。
文:ベストカーWeb編集部、画像:AdobeStock
【画像ギャラリー】読むと燃費が良くなる??JAF発行「エコドライブ10のすすめ」小冊子(4枚)画像ギャラリー発進の「最初の5秒」で燃費の1割が決まる
ガソリン車において、最も燃料を食う瞬間は発進時だ。信号が青に変わった途端にアクセルをグイッと踏み込む──これだけで、かなりの量のガソリンをムダにしている。
日本自動車工業会(自工会)が推奨するのは「ふんわりアクセル eスタート」。発進時、最初の5秒で時速20km程度に達するイメージでじわっとアクセルを踏む。たったこれだけで、燃費が約10%改善するとされている。10%というのは、月のガソリン代が1万円なら1000円浮く計算だ。アクセルワークは最初の5秒が大事。ペダルはふんわり踏む、じんわり踏む。これだけでサイフと地球と日本経済にやさしくなる。
ハイブリッド車のオーナーなら、さらにもうひと手間が効く。目標速度に乗ったら一度アクセルを完全に戻し、モーター走行に切り替える意識を持つこと。エンジンが止まる領域をどれだけ長く使えるかが、HEVの燃費を左右する最大のポイントだ。
赤信号は「見えた瞬間」が勝負──先読み運転の威力
巡航中の燃費を伸ばすカギは、一定速度の維持とムダな加減速の排除にある。JAFは、前方の信号変化や渋滞、路上駐車、工事などを早めに読み取り、不要なアクセル操作を減らすことを推奨している。
とりわけ効果が大きいのが「早めのアクセルオフ」だ。停止が見えた時点でアクセルから足を離すと、現代のクルマにはフューエルカット機能が備わっているため、エンジンへの燃料供給がゼロになる。つまり、惰性で転がっている間はガソリンをまったく使わない。ブレーキを踏む直前までアクセルを踏み続けるのと比べれば、その差は歴然だ。
自工会のデータでは、車間距離が短いと市街地で2%、郊外で6%燃費が悪化し、逆に早めのアクセルオフを心がけるだけで2%の改善が見込めるとしている。先読み運転は、追突リスクを下げる安全運転そのものでもある。省燃費と安全は、実はまったく矛盾しない。

https://www.jama.or.jp/operation/ecology/eco-drive/eco_drive/index.html
空気圧の放置は「毎月770円の損」になりうる
運転テクニック以上に”放置するだけで損する”のが、タイヤの空気圧だ。自工会によれば、タイヤの空気圧は何もしなくても1カ月で約5%低下する。適正値より50kPa不足した状態で走ると、市街地で2%、郊外で4%燃費が悪化する。
JAFの実験データはさらにシビアだ。空気圧が30%不足すると燃費は平均4.6%悪化、60%不足なら平均12.3%もの悪化となる。年間1.5万km走行、ガソリン165円/L想定で計算すると、空気圧30%不足で年間約9240円(月770円)、60%不足なら年間約2万6730円(月2228円)のロスになる。
月770円〜2200円。これは節約テクニックというより、”点検をサボった固定費”と言える。ガソリンスタンドで給油のたびに空気圧をチェックするだけでこのムダは消える。
ついでに言えば、不要な荷物100kgで燃費は約3%悪化する。使わないスキーキャリアやラゲッジに積みっぱなしのゴルフバッグも、そのまま放置すれば立派な燃費悪化要因だ。
エアコンは「我慢」より「使い方」で差がつく
夏場のエアコンは燃費の大敵──というのは半分正しく、半分は古い常識だ。確かに自工会のデータでは、外気温25℃でもA/CをONにしたままだと約12%燃費が悪化するとしている。だが最近のコンパクトカーでは、冷房使用時の燃費低下が2〜3%程度に収まるケースも報告されている。
ポイントは「冷房を我慢する」ことではない。窓の開閉だけで十分な季節にA/Cスイッチを切る、設定温度を必要以上に下げない。この「ちょっとした意識」が、真夏以外の季節で地味に効いてくる。車種による差も大きいので、自分のクルマの燃費計を見ながら”ちょうどいいライン”を探るのが現実的だ。
高速ではクルコン任せが正解、アイドリングは「場面で判断」
高速道路で燃費を伸ばす最も簡単な方法は、クルーズコントロールを使うことだ。電子制御のほうが人間よりも速度維持が安定しやすく、不要な追い越しのための加速→車線変更→再加速という燃費を悪化させるサイクルも自然と減る。
一方、アイドリングストップは少し注意が要る。JAFと自工会はともに、ガソリン車の10分間のアイドリングで約130ccの燃料を消費するとしている。人待ちやコンビニでの待機中はエンジンを切るのが正解だ。ただし、交差点の先頭や坂道で手動でエンジンを切るのは、再始動の遅れによる安全上のリスクがあるとして自工会が注意を促している。さらに、頻繁なエンジンのオンオフはバッテリーの寿命を削って、かえってコスト悪化や環境悪化に繋がりかねない。使い方に応じて「アイドリングストップ機能そのものをオフ」という判断もアリだ。
「長めの停車は切る、交差点では切らない」──この使い分けが大事だ。
まとめ
発進の5秒を意識する。信号が見えたらアクセルを離す。月に一度、空気圧を確認する。これだけで、ガソリン代は確実に減る。特別な装備も技術も要らない。要るのは、「ちょっとだけ丁寧に走ろう」という意識だけだ。燃料価格がどう動こうと、自分のクルマの燃費を自分でコントロールできるドライバーは、いちばん強い。
いまや国内におけるガソリン消費量の調整は「国難への対処」とも言える。なにしろ石油タンカーが来ない状況が、今後も続くかもしれないのだ。必要なところへ必要なだけ、必要な価格で回すためには、無駄遣いを減らすことが効果的。「このガソリン1Lを節約することで救える危機がある」と肝に銘じて、日々のカーライフを楽しみましょう。
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