前方の歩行者やクルマを検知して自動でブレーキをかけてくれる自動ブレーキ。自動ブレーキがあることで安心してクルマを運転できるという人も少なくないと思いますが、実は、雪道では十分な性能を発揮しないこと、ご存知でしょうか。
文:吉川賢一/アイキャッチ画像:Adobe Stock_amosfal/写真:Adobe Stock、写真AC
【画像ギャラリー】自動ブレーキは雪道では作動しても止まれない!! スタッドレスタイヤでも止まれない納得の理由(7枚)画像ギャラリー自動でブレーキが作動し、衝突を回避もしくは被害を軽減してくれるシステム
カメラやレーダーによって前方のクルマや歩行者を検知し、衝突するおそれがあるときに、停止もしくは減速をしてくれる衝突被害軽減ブレーキ(いわゆる「自動ブレーキ」。正式名称は衝突被害軽減制動制御装置、AEBS(Autonomous Emergency Braking System)と略す)。
日本では、2021年11月からフルモデルチェンジをする国産車への搭載が義務化され、輸入車においても、新型車は2024年7月から義務化されています。継続生産車へも国産車は2025年の12月から、輸入車は2026年7月から、義務化されることが決まっています。
主に高齢運転者による交通事故防止対策の一環として導入されたもので、国による性能の認定制度も始まっており、認定の要件は、
1.静止している前方車両に時速50kmで接近した際に衝突をしないまたは衝突時の速度が時速20km以下となること
2.時速20kmで走行している前走車に時速50kmで接近した際に衝突しないこと
3.1および2において、衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8秒前に、運転者に回避操作を促す警報が作動すること
というもの。前方にクルマや歩行者を検知したらドライバーに警告をしてブレーキ操作による回避を促し、その後もブレーキ操作がなく、衝突が避けられないとシステムが判断した場合に、システムがブレーキを作動させ、衝突を回避もしくは衝突の被害を軽減してくれるシステムです。
ただ、どんな場合でもシステムが作動するわけではない
しかしながら、どんな状況でもシステムが作動する、というわけではありません。たとえばホンダは、安全運転支援システム「Honda SENSING」の「衝突軽減ブレーキ(CMBS)」の使用に際しての注意として、歩行者の身長が1メートル以下の場合や2メートル以上のとき、傘をさしているなどで歩行者の身体の一部が隠れているとき、またしゃがんでいたりなど(歩行者が)歩いている体勢ではない状態では、歩行者を正しく検知できない可能性があるとしています。
また、夜間やトンネル内などの暗い場所や、雨や霧などの天候の状況、逆光になっているなどで、対象物が見えにくい状況であったり、鉄橋など周囲に電波を強く反射するものがあるときにも、システムが作動しない場合があるとのこと。
また、独立行政法人自動車事故対策機構によると、カメラの前のフロントガラスに汚れがついている場合や、ダッシュボード上の物が窓に反射している場合も、衝突被害軽減ブレーキが十分な機能を発揮しないとしています。
衝突被害軽減ブレーキの効果について検証した、公益財団法人交通事故総合分析センターが公開しているレポートでも、衝突被害軽減ブレーキの装備による追突事故の低減は50%程度と、一定の効果はあるものの、万全ではないことがわかります。もちろん衝突被害軽減ブレーキは「ぶつからないシステム」ではないのですが、条件によってはシステムが正常に作動しない条件があることは、知っておく必要があります。










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