雪道では、システムが作動しても止まれない!!
ただ、これらに該当せず、ドライバーによる運転操作も適切であるのに、衝突被害軽減ブレーキが適切な効果を発揮してくれないシーンがあります。「雪道」です。雪道では、衝突被害軽減ブレーキのシステムが適切に作動しても、止まることができないのです。
衝突被害軽減ブレーキは、舗装路のドライ路面での走行を前提に設計されています。一般的に、舗装路のドライ路面の摩擦係数(滑りにくさを表す係数)は0.8前後、(舗装路の)ウェット路面は0.6〜0.4、積雪路は0.5〜0.2、氷結路は0.2〜0.1とされており、ドライ路面に対し、積雪路は半分以下のグリップレベル。
つまり雪道では、元々の設計要件と路面の摩擦係数が異なるため、センサーが目標物を検知してシステムが作動したとしても、衝突の前に止まることができないのです。
JAFが、新品のスタッドレスタイヤを装着したクルマで、圧雪路と氷盤路(アイスバーン)を、時速10kmと時速30kmでそれぞれ3回ずつ走行、障害物との衝突を回避できるかを検証した実験でも、障害物を検知してシステムは作動したものの、圧雪路を時速10kmで走行したケース以外は止まることができずに障害物に衝突、時速30kmで氷盤路を走行したケースでは、障害物を22mほども引きずってしまう、という結果が出ています。
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このほか、タイヤの空気圧が低下していたり、タイヤが摩耗したりしていて正常なタイヤグリップ力が発揮できていない場合も、自動ブレーキで適切に止まることができない可能性があります。また下り坂も、クルマの慣性力が働いて制動距離が平坦路のときよりも延びるため、適切に止まることはできない可能性があります。
衝突被害軽減ブレーキは、あくまで安全な運転を支援してくれる装備です。機能を十分に理解し、過信することなく、安全運転を心がけましょう。
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