後席の膝前空間を握りコブシで計測する、おなじみ渡辺陽一郎氏。「2024年に乗ったクルマのなかでベストな一台は何ですか?」ときいてみると、名前が挙がったのは膝前空間にゆとりのあるクルマ……ではなかった!?
※本稿は2024年12月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:BMW、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年1月26日号
渡辺陽一郎氏が選んだ「2024年に乗った最高のクルマ」……BMW 523i
2024年に乗ったベスト車は、BMW5シリーズセダンの523iエグゼクティブだ。全長は5mを超えて全幅も1.9mに達するが、外観は地味。「798万円を投じて、このクルマを買う人がいるのか?」と思った。
ところが試乗すると心地よい。4気筒2Lターボは、最高出力が190ps、最大トルクは31.6kgmで数値も地味だが、運転感覚のバランスが優れている。
最近の欧州車には、不必要に加速力を強めた車種も多いが、523iはマトモだ。駆動力の高まり方も自然で、回転感覚を滑らかに仕上げた。
車両重量は1760kgだが5シリーズでは軽い部類に入り、カーブを曲がる時には適度な軽快感を伴って進行方向を変える。
危険回避の操作をした時の安定性はかなり高く、足まわりがエンジンパワーに勝るクルマの典型だ。ターボが増える前の欧州車には、少し非力なエンジンに上質なシャシーと足まわりを組み合わせたセダンが多かった。
ひっそりと残っていたんですね、こういうクルマが。最近のBMWでは、電気自動車の本質を見失った重量級SUVのiXなどを見せられていたから、523iに出会って安心した。
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