今からでも遅くないから市販化を切望!! 40年の時を経てスカイライン再び 「東京モーターショー2013」のサプライズ 現代に蘇ったハコスカ【ベストカーアーカイブス2013】

今からでも遅くないから市販化を切望!! 40年の時を経てスカイライン再び 「東京モーターショー2013」のサプライズ 現代に蘇ったハコスカ【ベストカーアーカイブス2013】

 ベストカー本誌の過去記事から名企画・歴史的記事をご紹介する「ベストカーアーカイブ」。今回は、東京モーターショー2013にて突如姿を現した日産『IDx Freeflow』『IDx nismo』サプライズ出展の衝撃をプレイバック!(本稿は「ベストカー」2013年1月10日号に掲載した記事の再録版となります)

文:編集部/写真:日産

【画像ギャラリー】市販車イメージの『IDx Freeflow』と『IDx nismo』をギャラリーでチェック!(23枚)画像ギャラリー

■サプライズでお披露目された『IDx Freeflow』『IDx nismo』

11月20日、東京モーターショーのプレスデーにおいて日産がサプライズ出展させたのが上の写真、2台の「IDx」。ベージュの市販車イメージが『IDx Freeflow』
11月20日、東京モーターショーのプレスデーにおいて日産がサプライズ出展させたのが上の写真、2台の「IDx」。ベージュの市販車イメージが『IDx Freeflow』
レーシーな雰囲気の『nismo』。レーシングGT-Rのオマージュとしか思えぬルックスである
レーシーな雰囲気の『nismo』。レーシングGT-Rのオマージュとしか思えぬルックスである

 2013年11月20日、東京ビッグサイトの東ホール、日産ブースは妙にざわついていた。「日産が東京モーターショーのプレスデーで驚きのコンセプトカーをサプライズ出展する」という情報が飛び交っていたからだ。

 満を持してステージに登場したのは『IDx Freeflow』と『IDx nismo』の2台。

 これを見たベストカー編集部の担当は腰を抜かすほど驚くとともに、一瞬間をおいてニンマリしてしまった。

 これまでベストカーの座談会などで必ず出てきていた『ハコスカを今の技術で作ってよ』がそのまま実現していたのだ!

 2台は相互に関連ある位置づけで、ベースの市販モデルとそこから改造したレース仕様というイメージ。

 全長4100~4200mm程度の比較的コンパクトな2ドアセダンで、FRの内燃機関搭載車。「本当はマニュアルトランスミッションにしたいけど、現実的にはツーペダル」と、デザイナーの田井悟グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部デザイン・ダイレクター。

 現段階では詳細なエンジンの仕様やトランスミッションが想定されているわけではないが、田井チーフデザイナーの言葉を借りれば「ボディサイズからいってもそんなに大きなエンジンというイメージではないでしょうね」となる。

 最大でも2Lか!? もしかしたら 1.6Lクラスの過給エンジンという可能性もある。『IDx Freeflow』はAT(CVTか!?)ということになろう。『IDx nismo』はツインクラッチAMTであることを望みたい。

【画像ギャラリー】市販車イメージの『IDx Freeflow』と『IDx nismo』をギャラリーでチェック!(23枚)画像ギャラリー

■まるでハコスカか510ブルの雰囲気

IDx Freeflow。ベージュのボディカラーは昔のハコスカや510ブルの時代に日産ではよく見かけたボディカラーで、当然「意識」はしているのだろう
IDx Freeflow。ベージュのボディカラーは昔のハコスカや510ブルの時代に日産ではよく見かけたボディカラーで、当然「意識」はしているのだろう

 写真を見てのとおりベース車となる『IDx Freeflow』はそれこそC10スカイラインか510ブルーバードかという雰囲気。

 逆スラントノーズのフロントマスクや、ちょっとつり目のヘッドライト(現代のクルマらしく灯火類はLED)のイメージは完全にハコスカ。

 2ドアだけどルーフラインなどを見るとクーペではなく『2ドアセダン』。ノスタルジーとモダンが入り混じった、なんとも不思議な雰囲気。

 ボディカラーはソリッドなベージュというか黄土色。写真を見た瞬間ハッとした。510ブルやハコスカ時代に流行ったカラーなのだ。

 こう書くと、『日産のなかのオッサン』がノスタルジアで作っちゃったの!? と思うかもしれないが、実はさにあらず。

ボディサイズ等の詳細は明らかにはされていないが、ショー会場で実車を見ると、全長は4100mm程度で全幅は1700mmに収まる5ナンバーサイズという感じ。ギュッとコンパクトに凝縮された印象だ
ボディサイズ等の詳細は明らかにはされていないが、ショー会場で実車を見ると、全長は4100mm程度で全幅は1700mmに収まる5ナンバーサイズという感じ。ギュッとコンパクトに凝縮された印象だ

 なんでも、クルマに興味がないといわれる若者たちとの意見交換の末、創り出された新たなトライアルであり、今後のビジネスモデルになるべく取り組んでいる「コ・クリエーション」なるプロジェクトなのだという。

 意見を聞いた若者たちの多くは、現物のクルマに対して深い興味はないものの、ゲームを通して案外、クルマそのものに対する興味はあるという。

 さらに、ゲームシーンで彼らが愛車に選ぶのは、最新のスポーツモデルではなく、往年の、それこそ日本グランプリ時代のマシンなのだとのこと。

 それは、彼らにとっては『新しいもの』で『見たことないかっこいいクルマ』。我々がそこに感じるノスタルジーではなく、新型車を見た時の感覚なのだ。

 そんな彼らの意見を、日産のクルマ作りのプロが吸い上げて、カタチにしたのが『IDx』。

 けっしてノスタルジーではない証とも言えるのがインテリアで、インパネやステアリングなどにはノスタルジーを感じるものの、シート地はブルージーン。昔のクルマにこの感覚は絶対になかったはず。

 田井チーフデザイナーも、「正直、私の感覚に、このシート地はありませんでした」という。若い世代は、絶対的にブルージーンを好み、それを若いデザイナーがこういう形で具現化したという。

デザインを担当した田井悟グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部デザインダイレクター。若者の指向は我々が思っているのとは真逆で、レトロなものを新鮮にとらえていると実感したという
デザインを担当した田井悟グローバルデザイン本部プロダクトデザイン部デザインダイレクター。若者の指向は我々が思っているのとは真逆で、レトロなものを新鮮にとらえていると実感したという
『Freeflow』のインテリアはどこか昔のアメ車を思わせる。シート地にはジーンズを使用するが、これは現代の若者の意見を取り入れたもの
『Freeflow』のインテリアはどこか昔のアメ車を思わせる。シート地にはジーンズを使用するが、これは現代の若者の意見を取り入れたもの

 いっぽう『IDx nismo』は、富士の30度バンクを疾走してきそうな、もう完全にハコスカGT-Rレーシング仕様のオマージュ。

 オフホワイトのボディに赤いレーシングアクセント。リベット留め風オーバーフェンダーや、フロントマスクのバンパーレス風デザイン(まるで、ヒョイとオイルクーラーがそこについていそうな雰囲気)等々……。1972年式のKPGC 10レーシング仕様。

「我々にとっては日本グランプリなんですけど、若い世代にとっては新しいスタイルのクルマなのです。ゲームでも、好きなパーツをつけたり、カラーリングしたりして仕上げていきますけど、今回、このクルマをデザインしていくのって、その感覚に近かったように思います」と田井チーフデザイナー。

「インテリアの考え方はベース車とは全く違えています」というように、真っ赤なバケットシートやインパネ類のデザインはレーシーでオジサン世代にも違和感なし。

 もちろん、これがそのまま直ちに市販車につながって行くとは思わないし、そんな簡単なものではないとわかっている。

 でも、日産がこんなことを真剣に考えていて、東京モーターショーという『日本企業の日産』にとって重要な場でワールドプレミアするという『意気』には感じるものがあった。

次ページは : ■IDx nismoのディティールをチェック!

PR:【期間限定】ガソリンが6ヶ月最大7円/L引き ≫

PR:かんたん5分! 自動車保険を今すぐ見積もり ≫

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

新型MR2改めGRセリカの発売時期が決定!? GRスープラポスターもついてくるベストカー7.10号発売中

新型MR2改めGRセリカの発売時期が決定!? GRスープラポスターもついてくるベストカー7.10号発売中

ベストカー7.10号 特別定価590円 ちわ! 志が低すぎて15分で終わるミッションオイル交換に着手…