以前、この企画でN-BOXを取り上げた時、「アウトドアのイメージや、シートをチェック柄にするなど見た目の新鮮さが欲しい」と言っていたテリーさん。それが具現化したホンダ N-BOX JOYが登場した。テリーさん、こういうのですよね?
※本稿は2024年12月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト、ホンダ
初出:『ベストカー』2025年1月26日号
虫の知らせか? テリーさん図らずも「JOY」を予言!?
2024年4月26日号のこの連載で新型N-BOXを取り上げ、先代モデルから代わり映えしていないことを嘆いた。
細かいところが進化しているのはわかるのだが、正直に言って「ほとんど同じ」に見える。これでは買い替えたくても家族を説得するのが難しいだろうと思った。
もっとアウトドアの楽しげなイメージがほしいし、シートをチェック柄にするなど見た目の新鮮さもほしい。そんなことを言っていたら、編集担当氏が「テリーさん、実はそんなN-BOXがあるんですよ」と耳元で囁いた。
なんでも「JOY」という派生車が予定されていて、それがまさにアウトドアイメージで、チェック柄シートのクルマなのだという。
いつも、どこからそんな新車の情報を入手するのか不明だが、「本当に?」と聞いたら、私の眼をしっかり見据えて頷いたので自信があるのだろう。ベストカーに載っているスクープ情報の真偽を問うと、明らかに目が泳いで言葉に詰まる時もあるが、今回はそうではなかった。
そして今、目の前にそのN-BOX JOYがある。ギアっぽさを増した外観と撥水シートは確かにアウトドアのイメージ。ベースのN-BOXよりも楽しげでアグレッシブなクルマとなっている。
最大の見どころは私も希望していたチェック柄シートだが、表だけでなく裏側にも柄が入っていて、シートを裏返してアレンジした時にもチェック柄が見えるようになっている。
後席を前に倒すとフラットで広いスペースができるのだが、そちらもチェック柄で楽しめるのがいい。ホンダはこれを「ふらっとテラス」と呼んでいて、「JOY」最大の特徴となっている。
ホンダは軽自動車以外、販売ランキングの上位にくるクルマがないから、軽でも儲かるクルマが欲しかったはず。そんな事情も見え隠れするが、楽しいクルマを作ってくれるのはありがたい。
N-BOX JOYを見ているとファストフード店の期間限定商品を思い出す。ちょっとプレミアム感があって、多少高価でも売れる商品である。N-BOX JOYは限定車ではないが、狙いは似ているのではないだろうか。
【画像ギャラリー】テリーさんの願いが伝わった!? アウトドアテイストとちょっとした遊び心を取り入れたホンダ N-BOX JOY(24枚)画像ギャラリー好きな絵や写真を貼るだけでいい
試乗車はターボエンジン、2トーンカラーの4WD車で車両価格226万500円。オプションを含めると278万5300円となり、軽自動車としては相当高いが、こういうテイストのクルマが好きな人は迷わないのではないか。
同じ商品にちょっとした工夫を施して価格を上げるのは商売の常套手段で、何回もできることではないが、「たまに」ならいい手である。しかし、それも元の商品に魅力がなければ誰も相手にしてくれない。人気車のN-BOXだから「JOY」が成立しているのだろう。
ただ、よく頑張ったとは思うが、もうひと工夫欲しい気もする。例えば助手席を畳むことができれば、後席を倒して車中泊できるスペースが作れるだろうし、もっとアウトドアに特化した特別な装備があってもいいのではないか。
「いやいやテリー、そこまでの改造はなかなかできないんだよ」と言われるかもしれないが、それならそれで、実は簡単にできることもたくさんあるのだ。
ドアの内張りやシートの背中などに好きな絵や写真を飾れるだけでもイメージは大きく変わる。簡易的なものでいいから台紙を用意し、そこに絵や写真を貼り付ければ完成する。
また、このクルマには前席の背中にテーブルが付いているが、その表面に明るい模様を施すだけで、車内の雰囲気はガラリと変わり、ドライブが楽しくなるのである。
必要なのは安くて手間もかからない、ちょっとした工夫なのだ。せっかく「JOY」といういい素材ができたのだから、今後どんどん成長させてほしいものである。
【画像ギャラリー】テリーさんの願いが伝わった!? アウトドアテイストとちょっとした遊び心を取り入れたホンダ N-BOX JOY(24枚)画像ギャラリー
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