AT車の普及と共にパーキングブレーキを使用せず、Pレンジだけで駐車している人を多く見かけるようになった。しかし、クルマが動かないからと安心してはいけない。今回はその危険性について解説する。
文:デグナー12(Team Gori)/写真:写真AC
Pレンジだけではクルマの転がりやギア破損のリスクがある
結論から言うと、Pレンジだけに頼った駐車はクルマが動き出す可能性やミッションに負担がかかるため、必ずパーキングブレーキを併用してほしい。
Pレンジは棒状の部品をギアに噛ませて進まないようにしている状態。そのため、駐車後、地形によってギアが噛むまでわずかに動くことがある。
もちろん、Pレンジのギアが噛めば、それ以上クルマが動くことはないが、ギアの噛み込みでクルマを停めている以上、外部から大きな力がかかった場合の破損や、噛み込みが外れるリスクがないとは言い切れない。実際、能登地震の被災者である筆者はクルマを駐車したタイミングで地震が発生し、恐怖を覚えた経験がある。
その時はちょうどパーキングブレーキを使う直前で、Pレンジの状態ではタイヤが前後に大きく揺さぶられ、慌ててパーキングブレーキを使用。
周囲のクルマもタイヤが大きく前後していたため、駆動系の破損だけでなく、狭い駐車場では車体が壁などに接触する可能性もあったかもしれない。平坦な駐車場でも油断してはいけないのだ。
【画像ギャラリー】もはや貴重!! 未だ手引きレバーのパーキングブレーキ車たち(4枚)画像ギャラリーパーキングブレーキ未使用はミッションにも負担がかかる
パーキングブレーキはワイヤーが引っ張られることで後輪にブレーキをかける仕組み。Pレンジのようにギアの動きを止めるのではなく、しっかりブレーキで車体を固定することができる。もちろん、パーキングブレーキの引き方(踏み方)が不十分な場合や、ワイヤーにゆるみがあるとブレーキの効きも弱いため、確実な駐車を心がけよう。
また、駆動系への負担という意味でもPレンジに頼った駐車は避けるべき。勾配がある場所にPレンジで駐車すると、再始動時にギアチェンジをしにくい場合がある。これは勾配によってPレンジのギアに負荷がかかっている状態で、駆動系ダメージが蓄積させることになる。
【画像ギャラリー】もはや貴重!! 未だ手引きレバーのパーキングブレーキ車たち(4枚)画像ギャラリー冬季はパーキングブレーキを使用しない方がいい場合も
ただし、冬季のパーキングブレーキの使用は例外。路面が凍結する気温下ではブレーキの凍結、固着によって、パーキングブレーキを解除してもブレーキが作動したままで発進できないリスクがある。そのような気温下ではPレンジだけの駐車とせざるを得ないが、輪留めの使用が確実だ。
近年は電気式パーキングブレーキが増えており、中にはPレンジに連動してパーキングブレーキが作動するクルマもある。その場合はマニュアルに切り替える方法を知っておくといいだろう。MT車の減少でパーキングブレーキを使用せずにクルマを離れる人が多いが、面倒がらずに今一度パーキングブレーキを使うという行為を意識して行ってほしい。
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