スポーツカー好きならMT車に乗りたいのが本音だと思うが、使い勝手や家庭の事情などからAT車を選ばざるを得ないケースも決して少なくない。ならば、MT車のような感覚でドライブが楽しめるAT車を選んでみてはいかが?
文/FK、写真/スズキ、スバル、トヨタ、日産、三菱自動車
スポーツATのパイオニアは三菱自動車のFTO
国産車初のAT車は、1957年に岡村製作所が製造・販売したミカサ。
日本初のトルクコンバータ式オートマチックトランスミッション車であり、2015年7月には一般社団法人 日本機械学会により“機械遺産”に認定されている。
一方、今回のテーマであるスポーツATで思い出されるのは、1994年10月に発売されたFTOだ。
国産車初のマニュアルモード付きAT“INVECS-IIスポーツモード4AT”を搭載したFTOでは、人間の脳の判断機能に近い理論回路=ニューラルネットワークやいかなる道路条件下でも最適なシフトタイミングが得られる最適制御を採用。
ドライバーの好みや運転技量に応じてシフトタイミングを修正する学習制御も組み入れることでD レンジでのイージードライブを究極まで追求するとともに、MT車感覚で操作できる稀有な1台として評価はすこぶる高く、第15回1994-1995日本カー・オブ・ザ・イヤーも受賞している。
7年間という比較的短い現役時代、どちらかといえば不人気車の部類に属していたFTOだが、スポーツATのパイオニアとして果たした役割や功績は称えられるべきもの。
それを裏づけるようにINVECS-IIスポーツモード4ATは公益財団法人 自動車技術会が選定する、後世に語り継ぐべき自動車技術を集めた“日本の自動車技術330選”にも選ばれている。
【画像ギャラリー】MT車に乗りたいけどチョイ面倒という人に一押し!(14枚)画像ギャラリープロドライバー顔負けのギア選択を実現したトヨタ・GRヤリスの8速AT“GR-DAT”
2024年4月に発売された進化型のGRヤリス。
プロドライバーとともに視認性と操作性を磨き上げた専用コクピット、出力とトルクを磨き上げた1.6リッターのターボエンジン、モータースポーツ現場の声を反映したエクステリアなど、従来モデルから数え出したらキリがないほどの改良が行われたが、なかでも大きなトピックとなったのは新開発の8速AT“GR-DAT”の採用にあった。
このGR-DATはAT制御ソフトウエアをスポーツ走行用に最適化したもので、従来は減速Gや速度などの車両挙動を感知し変速させていたところをブレーキの踏み込み方・抜き方、アクセル操作まで細かく感知。
車両の挙動変化が起きる前に変速が必要な場面を先読みしてドライバーの意思を汲み取るギア選択を行い、プロドライバーによるシフト操作と同じようなギア選択を可能にした優れモノなのだ。
また、AT内部の変速用クラッチに高耐熱摩擦材を採用したほか、AT制御ソフトウエアの改良によって世界トップレベルの変速スピードも達成。
加えて、6MTから8ATへ多段化したうえでクロスレシオ化することにより、パワーバンドを活かした走りも実現している。
しかし、それ以上に声を大にして言いたいことは、ATの追加ラインナップによってGRヤリスが“ファミリーカー”としても迎え入れられるようになったということ。
というのも、進化型が登場するまでGRヤリスには6速MT車しかなく(1.5リッターのFFモデルであるRSグレードは除く)、傍から見ればクルマ好きのための道楽車として捉えられていたから。
進化型で8速AT車が追加されたということは、AT限定免許しか所有していないような奥さまやお嬢さまでも運転できるってこと。
家族に進化型GRヤリスを購入する際の口説き文句にもなるし……そう、GRヤリスの8速AT追加がもたらすメリットを計り知れないのである。
【画像ギャラリー】MT車に乗りたいけどチョイ面倒という人に一押し!(14枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方FTOなんて、ここ20年、走ってるのも中古屋においてあるのも見たことないぞw
GRヤリスがファミリーカー…?
MAZDAはエントリーの2に至るまで全て、内燃機関はステップAT採用です。
CVTじゃないからS+みたいな疑似ではなく、パドルシフトで実際に変速、します