日産の救世主になれるか? 次期エルグランドに期待したい性能と見込み

日産の救世主になれるか? 次期エルグランドに期待したい性能と見込み

 2025年2月13日、日産はターンアラウンドの取り組みの進捗を発表、売り上げの成長を達成するための商品力強化の対策として、2025年度から2026年度にかけてプラグインハイブリッドを搭載した新型車や新型の軽自動車、そして大型ミニバンを投入すると発表した。

 プラグインハイブリッドを搭載した新型車や新型の軽自動車も気になるところだが「大型ミニバン」ときいて、「いよいよ(もしくはやっと)か!!」と思った日産ファンは少なくないだろう。そう、現行モデルがすでに15年選手にもなってしまっている日産「エルグランド」のフルモデルチェンジだ。

 売り上げの成長を達成するために投入される大型ミニバンなのだから、「ラインアップされていることに意義がある」とか言っている場合ではなく、とにかく売れなければならない。はたして、次期エルグランドが日産の救世主になるために必要な姿とはどんなものか!?? 考えてみよう。

文:吉川賢一、立花義人/写真:NISSAN

【画像ギャラリー】2010年デビューは驚き!! いいクルマなのだが、古さは否めない、現行型日産「エルグランド」(15枚)画像ギャラリー

絶対に欠かせないのは、威厳あるエクステリアデザイン

 次期エルグランドが日産の救世主となるために、絶対に欠かせないのが、威厳あるエクステリアデザインだ。現行型は全高の低いスポーティなスタイリングが与えられているが、高級ミニバン市場ではアルファードが示してきたように「威厳」や「存在感」が重視される。エルグランドもマイナーチェンジでグリルの大型化などブラッシュアップを図ってきたが、そもそもの全高が低いため、存在感が全く足りていない。まずこの点を根本から変えなければ、アルファード/ヴェルファイアの牙城は崩せないだろう。

 インテリアも、一歩も二歩も先へ進んでしまったアルファード/ヴェルファイアに対抗できる質感の高さが最低条件となる。上質な素材の採用や職人の手仕事、また最新のインフォテインメントシステムの搭載などは不可欠。エルグランドも居住性はよいのだが、高級感が足りないのだ。「移動するラウンジ」としての価値観を十分高め、ライバルを突き放すぐらいの内容が必要だろう。

スポーティなラージミニバンとしての素養は十分にある。次期モデルでは、高級ミニバンに必要な、威厳のあるエクステリアや、内装の質感の高さも必要だ
スポーティなラージミニバンとしての素養は十分にある。次期モデルでは、高級ミニバンに必要な、威厳のあるエクステリアや、内装の質感の高さも必要だ
次期エルグランドのデザインを知るカギとなるのは、2023年のJMSで発表された「ハイパーツアラー」。大胆で未来的、かつ日本の伝統美を融合させた魅力的なデザインだが、これを市販車にどのように落としこんでくるのか
次期エルグランドのデザインを知るカギとなるのは、2023年のJMSで発表された「ハイパーツアラー」。大胆で未来的、かつ日本の伝統美を融合させた魅力的なデザインだが、これを市販車にどのように落としこんでくるのか

第三世代のe-POWERもいいが、ほんとに必要なのはガソリン車!!

 パワートレインに関しては、日産は冒頭の発表のなかで、大型ミニバンには第三世代のe-POWERを設定すると発表している。この第三世代のe-POWERは、初代e-POWER比で燃費は20%向上しながらも、コストは20%低減できるとのことで、e-POWERの弱点といわれつづけている高速走行時の燃費も、第二世代e-POWER比で15%改善するとのこと。1%の改善すら大変な燃費において、このインパクトは非常に大きく、これは大いに期待ができる。重量のかさむ大型ミニバンと、低速発進で力強いe-POWERの相性とのは、抜群によいはずだ。

 そのうえで、セレナでも採用された電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」をエルグランド用にチューニングし、Lクラスミニバンとは思えないような新鮮な走りでライバルを圧倒してほしい。また、プラグインハイブリッドの設定もあると、さらに快適で静粛性の高い運動性能を可能にしながら、いざという時には長距離移動も可能にしつつ、維持費や高級感という面でもクラスにふさわしい快適さを提供できる。

 ただ、e-POWERよりもプラグインハイブリッドよりも、次期エルグランドが設定しなければならないのは、純ガソリン車だ。「戦略上、国内市場は電動化が必須」としている日産だが、現行セレナにはガソリン車を残すという矛盾も起こしている。「君子豹変す」ともいうように、方針は柔軟に変えていくべきだ。日本のユーザーが求めるエルグランド像をきちんと見極めて欲しい。

 ライバルであるアルファードが売れているのには、廉価なガソリン車が設定されていることで、中古車の海外需要が高く、それが下取り価格の高騰につながり、さらには新車の需要高騰に繋がる、という仕組みもある。もちろんこうした需要を想定してガソリン車を設定するわけにはいかないだろうが、売り上げを成長させたいのであれば、ユーザーが求めるクルマを造らなければならないはずであり、多くのユーザーが求めている廉価なガソリン車の設定は、絶対条件だ。

2024年、セレナe-POWERに「e-4ORCE」が追加されたが、価格は361万円~と、2WD(324万円~)に対し37万円のアップとなった。次期エルグランドもまずはFFモデルをしっかりとつくってほしい
2024年、セレナe-POWERに「e-4ORCE」が追加されたが、価格は361万円~と、2WD(324万円~)に対し37万円のアップとなった。次期エルグランドもまずはFFモデルをしっかりとつくってほしい

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