ホンダらしさはあるけれど…高級セダンの必須要素に課題あり
高級車に重要な快適性については少し疑問を感じるところがあった。具体的には高速道路のペースになると、高級車にしては風切音と路面によっては「シャー」というロードノイズが気になる。
これは、スポーツサルーンというキャラクターも加味してか、245/40R19という高級車ではあまり見ないスポーティなタイヤ(銘柄はミシュラン パイロットスポーツ3)を履く影響も大きいのではないだろうか。
乗り心地も高速道路をはじめとした路面がいいところであれば、若干の硬さと上下動が一発で収まらないことはあるものの、スポーティなキャラクターを考えれば許容できる範囲とも思えた。
しかし、路面が荒れたところも多々ある郊外の一般道に入ると高級車らしかぬゴトゴト、ゴツゴツという不快な硬さがあるのは非常に残念に感じた。
ワインディングロードでも、アクセルオンでグイグイ曲がるレジェンドの個性は確認できたが、ハンドルに伝わってくるステアリングフィールがスムースでないところもあり、もう少しスッキリ、シャッキリとしたものであればなおいい。
後席の居住性に関しては、シートの可動機構こそないものの、フォーマルな使い方も考えているようで、くつろげる広さを確保していることに加え、乗降性も良好、エアコンやオーディオの後席からのコントロール機能も充実しており、申し分ない。
しかし、ラゲッジスペースはバッテリーが置かれるためボディサイズにしてはやや狭いので、4人でゴルフに行くような使い方だとちょっと厳しいかもしれない。
なお燃費は市街地で10km/L、郊外で12km/L、高速道路13km台後半といったところで、約1000kmを走った総合燃費は13.0km/Lと、カタログに載る16.4km/LというJC08モード燃費相応のものだった。
ホンダの最高級セダンはなぜ売れないのか
レジェンドに3日間乗った総合的な印象は「快適性に疑問は感じたものの、レジェンドやホンダという強いキャラクターは感じられ、悪い車ではない」というものだった。
快適性に関しては、現在のレジェンドをスポーツグレードとし、快適性に振った高級車らしいグレードも設定できれば望ましい。
レジェンドの価格は720万5000円で、直接的なライバル車となるレクサス GS450hが2WDで約758万円からということを考えれば、確かにリーズナブルではある。
しかし、価格の重要度がさほど高くない高級車において、レジェンドには4WDやスポーツサルーンという特長以外のわかりやすいセールスポイントもほしい。
それが何かというのは非常に難しいことだが、2代目レジェンドが追求した安全性、運転支援システムを世界トップクラスのものにする。
乗降性は良好ながらそのせいかアコードの影を感じてしまうリアのスタイルを流行の4ドアクーペ的にしてレジェンドのキャラクターを際立てるといったことが筆者の頭には浮かぶ。
また、“高額車”を扱うのに相応しいディーラー作りも必要だ。
それでも(空白期間はあるにせよ)ホンダがレジェンドを2020年で35年間も作り続けていることは大変立派なことである。
次期レジェンドがあるのであればいろいろなことを熟考したうえで、口コミでいい評判が広がるような高級車になることを願いたい。
【画像ギャラリー】長年ホンダ最上級車に君臨!! 歴代レジェンドの特長は?
■ホンダ レジェンド 主要諸元(Hybrid EX)
全長×全幅×全高:5030×1890×1480mm
車重:1990kg
駆動方式:4WD
パワーユニット:3.5L V6エンジン+3モーター(ハイブリッド)
システム最高出力:382ps
システム最大トルク:47.2kgm
JC08モード燃費:16.4km/L
価格:720万5000円
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