レギュラーガソリン価格が160円/Lを超えたら、揮発油税や地方揮発油税を引き下げるという「トリガー条項」。しかし160円/Lを超えても発動することはなかった。多くの批判を浴びながらあくまで「補助金」にこだわった政府の思惑とは!?
※本稿は2025年1月のものです
文:井元康一朗/写真:AdobeStock(トップ画像=ELUTAS@AdobeStock)
初出:『ベストカー』2025年2月10日号
「トリガー条項」凍結を解除しなかった政府の思惑
ウクライナ紛争をきっかけに暴騰したガソリン、軽油などの燃料油価格。日本政府が物流コスト上昇や生活費の負担増を防止する策として2022年1月から実施してきた「燃料油価格激変緩和補助金」。
燃料価格の安定に一定の効果を発揮してきたこの補助金だが、当初から批判も根強かった。
レギュラーガソリン価格が160円/Lを超えたら燃料諸税のうち割り増し分の暫定税率を取るのをやめる「トリガー条項」の凍結を中止して発動させろという意見、さらに燃料諸税はすでに道路整備のための特定財源ではなくなったのだから本来の税率に戻すべきという意見が多く出された。
政府がそれら国民の声をあえてスルーして補助金方式に固執したのは、ひとえに税収減につながるトリガー条項の凍結解除を避けたかったからだ。
年間4兆円以上という燃料諸税は国にとって美味しい財源。トリガー条項を発動させた場合、税収減は1兆5000億円と試算されている。高額な課税額だけに一度税率を下げると復活時の不満は強烈なものになる。
補助金で時間稼ぎをしている間に燃料価格が落ち着けば燃料税の仕組みをいじらずに済むと考えたのだ。
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コメント
コメントの使い方国の収入(税収)が1兆5千億円減った所で大した影響は無いはず。(その分無駄を省けば良いのだが)今の石破自民は代替財源が…が前提だ。そもそもガソリンの2重課税自体違法だろう。それを国のTOPが実効出来ない。石破自民に期待するモノは無い
民主政権の作ったものを使いたくない。
ぶっちゃけ一番の理由はそれじゃないのかな。