【スープラ、N-VAN、リーフ…】最近出てこないクルマのご機嫌伺い

 今まで黙っていたが、自動車専門誌は意外と新車に冷たかったりする。

 登場する前はスクープで盛り上がり、登場直後は新車紹介 → 初試乗と続けて誌面に出てくるものの、あとはパタッと掲載が止まってしまうというのはよくある話なのだ。

 人気と注目度が高いクルマはデビュー以降も頻繁に登場するが、フェードアウトしてしまうクルマもある。その理由には、以下のパターンが考えられる。単純なものから順に挙げていく。

[1]世間にも読者にもあまり人気がなく、関心が薄い。
[2]価格が高すぎてリアルさがなく、人ごとのように感じてしまう。
[3]そもそも登場直後からメーカーに売る気があまりなく、自然に忘れられていく。

 以上3つはシンプルでわかりやすい理由だが、もう少し複雑な理由もある。

[4]登場前に盛り上がりすぎていて、いざ本当にデビューしたら「なんかちょっと飽きてない?」ってなる。
[5]期待が大きすぎて、実際にデビューしてみたら「ん? こんなもんなの?」と一気に気持ちが冷めてしまう。

 こんなところだろうか。本当に勝手な言い分で申し訳ない。本企画ではそんな最近出てこないクルマに「元気ですか?」とご機嫌伺いをする。

※本稿は2019年11月のものです
文/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2019年12月26日号

【画像ギャラリー】記事内で登場した「最近出てこないクルマたち」をもう一度!


■デビュー前に騒ぎすぎたか、登場後にその勢いが持続せず……
トヨタ GRスープラ(2019年5月17日登場)

17年ぶりの復活で自動車メディアを大いに盛り上げてくれたスープラだが、今は受注をさばくのが最優先すべき仕事

●どんなクルマだ?
 2019年5月、実に17年ぶりに復活したスープラはBMWとの共同開発でBMW Z4とは兄弟車の関係。エンジンは258psと197psの直4、2Lターボと、340psの直6、3Lターボを搭載するが、ともにBMW製。FRの2シータースポーツで、価格は約499万〜703万円。

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 冒頭に挙げた5つの理由のうち、[3]「あまり売る気がない」と、[4]「登場前に盛り上がりすぎた」が該当していそうだ。

 ちょっと待て。トヨタは熱心にスープラ復活をアピールしてるじゃないか! と言いたい方もいるかもしれないが、なにしろ日本向けの生産台数(オーストリアからの輸入)が少なく、BC読者のなかには「デビュー直後に申し込んだのに納車は2020年2月(涙)」という人もいて、こりゃー「あまり売る気がない」と判断されてもしかたない。当然、市場も盛り上がらない。

 もうひとつの「登場前に盛り上がりすぎた」に関しては、期待の大きいスポーツカーならよくある話。特にスープラは事前のチラ見せが多く、BCはそのたび掲載し続けていたから、本当に発売される頃には「掲載疲れ」が溜まってしまっていたようにも思う。読者も飽きちゃうよね。正式デビューの時には「あれ? まだ売ってなかったんだっけ?」という気分になった。

●ご機嫌伺い
 このクルマの場合、ご機嫌伺いをする必要はあまりない。メディアで再び多く取り上げられて受注を増やすより、現在の受注をさばくほうが先決だから。「俺のことはそっとしておいてくれ」というのがスープラさんの本音ではないかと思われる。

■いいクルマだけど存在が地味。エボリューションを作るしかない!?
三菱 エクリプスクロス ディーゼル(2019年6月13日登場)

イジりにくいひな壇芸人が使いにくいように、イジりにくいクルマも扱いが難しい。何かいい手はないものか……

●どんなクルマだ?
 2018年3月に1.5Lターボエンジンのみで登場後、2019年6月に145ps/38.7kgmの2.2Lクリーンディーゼルを追加。高い旋回性能と走行安定性を両立する4WDシステム、S-AWDを搭載している。価格は311万8500〜346万6100円。

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 いいクルマなのだが地味。見た目はきらびやかなのに存在が地味。役者なら「名脇役」を目指す方法があるものの、地味なクルマは活用方法があまりない。普通に誌面の登場回数が減っていく。

 実は、メディアにとって地味でいいクルマほど扱いにくいものはなかったりする。イジりにくいクルマの出番が減るのは、ひな壇芸人と同じことなのだ。

●ご機嫌伺い
 クルマの出来は本当にいいのだ。カッコだっていい。ただ「目立ちたい!」という欲がなさすぎる。エボ、作っちゃう?

■燃費がいいのは確かだが、それだけ。このクルマにふさわしい企画が浮かばない
ホンダ インサイト(2018年12月13日登場)

デビュー直後からつかみどころのないクルマだったインサイト。案の定、その後も大勢に変化なく今に至っている

●どんなクルマだ?
 2018年12月にデビューしたミドルサイズのハイブリッド専用セダン。1.5Lの2モーターハイブリッド(i-MMD)を搭載し、WLTCモードは28.4km/Lという優等生だ。価格は332万2000〜369万6000円。

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 インサイトさんには申し訳ないと最初に謝っておく。謝ったうえで本音を書くと「登場させる企画が思い浮かばない」のだ。ロングランで評価しても、何かのクルマと対決させても、パッとしないままページは終わる。そう容易に想像できるのが厳しい。

 サイズのわりに燃費がいいのは確かだが、「ですよね〜」で終わってしまってはどうにもならない。

●ご機嫌伺い
 半ば諦めの境地に達していると思われるインサイトさん。思い切って「驚くほど安いグレード」など設定してみてはどうだろう。200万円台でこのクルマが買えるなら、きっと世間はざわつくはずだ。

■顔面インパクトは強力だったが、デビュー時がピークだったかも?
三菱 デリカD:5(2019年2月15日登場)

登場直前、直後のインパクトは巨大だったが、あとは順調に下がり続けている。雪シーズンでの大活躍を祈る

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 デビュー当初は頻繁に誌面に登場していたが、多くの人があの顔のインパクトに慣れてくると、徐々に登場回数は減少していった。結局は最初がピークで、あとは下がるしかなかったということだろうか。個性的なデザインにはどうしてもそういう副作用がつきまとう。

●ご機嫌伺い
 デリカD:5さんのウリは、実は顔よりも強力な4WD性能を基本にした悪路走破性。これから雪のシーズンになると、おのずと出番は増えてくるものと思われる。今後のことについてはあまり心配しなくてよさそうだ。

■最近出番はないが、軽商用車としてやりきった感あり。もう満足してる?
ホンダ N-VAN(2018年7月13日登場)

これほど話題をふりまいた軽商用バンがあっただろうか。しばらくは落ち着いた環境で働いてもらうのがいいだろう

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 デリカD:5同様、こちらも最初にピークがきちゃった系。大ヒットしたN-BOX直系の商用バン、しかもカジュアルさも感じさせる、個性的な商用車とあってホンダも熱心にPR。その結果、短期間ですべての露出を使い果たした感がある。

●ご機嫌伺い
 いくら話題になったといっても軽の商用車。N-VANさんにしても「あれだけ人気者になれたんですから、悔いはありません」ってなもんだろう。

 商用バンでここまで話題になったのは凄いこと。思い残すことはない?

■大容量バッテリーを搭載するも、そもそも電気自動車は扱いにくい
日産 リーフe+(2019年1月9日登場)

電気自動車という特別な枠ではなく、普通に安定して売れているリーフ。近々行われるマイチェンに注目だ

●どんなクルマだ?
 2017年9月にデビューした、2代目リーフに追加された大容量バッテリー62‌kWhモデル。標準車よりも4割アップの航続距離458kmを誇る。モーターの最高出力も110kW(150ps)から160kW(217ps)に上がっている。価格は423万9400〜481万6900円。

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 日本の電気自動車は実質リーフのみという状況。つまり、ライバル比較企画の対象にならないというのがまずひとつ。そして、こう言ってはミもフタもないのだが「電気自動車の企画はあまり受けない」ということもある。

 もうひとつは日産の経営状況が混沌としていること。クルマよりもそちらに関心がいってしまい「リーフどころではない」というのもあるかな〜?

●ご機嫌伺い
 注目を集めるために、リーフのSUVなど出してみてはどうでしょうか。簡単に言うなって? すみません。

■ベストカーのような庶民派雑誌はほっといて、我が道を歩んでほしい
ホンダ NSX(2018年10月25日MC車登場)

GT-Rニスモと並ぶ超高額スーパースポーツ。久しぶりに誌面に出したいが、ふさわしい企画がない……

●どんなクルマだ?
 2016年8月にデビューし、2018年10月に改良モデルを発表。V6、3.5Lツインターボにフロント1個、リア左右にそれぞれ1個の3モーターを組み合わせたハイブリッドモデルで、システム出力581ps/65.9kgmを誇る。価格は約2414万円。

●なぜ、あまり誌面に出てこなくなった?
 冒頭で述べた5つの理由のうち、[2]の「価格が高すぎてリアルに感じられない」が当てはまる。また、[3]の「メーカーに売る気があまりない」にも該当する。売る気がないというより、PRしたところで購入層にはかぎりがあり、欲しい人は広告を見ないでも買うし、買えない人は何を見たって買えない。

 ちなみに2019年10月の国内販売台数は「0台」の金字塔を打ち立てている。

●ご機嫌伺い
 NSXさんには我が道を歩んでもらうしかない。ベストカーのような庶民派雑誌など相手にせず、世界一を目指してほしい。


 繰り返しになるが、本当に勝手な言い分で申し訳ない。乗ると本当にいいクルマばかりだし、買って損なしの実力を持つモデルばかりです。

 これから当サイトも(記事にしてみてよくわかったので)、こういうモデルの動向をなるべく細かく報じるよう、目を凝らして耳をすましてがんばります。はい。

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