2025年1月、おなじみテリー伊藤氏が2年ぶりとなる東京オートサロン取材を敢行。一般公開日に会場を訪れ、独特の華やかな雰囲気に、「帰ってきたって感じがするね」とご満悦。しかし同時に、本職の「作り手側」として思うところもあった!?
※本稿は2025年2月のものです
文:テリー伊藤/写真:中里慎一郎
初出:『ベストカー』2025年3月10日号
東京オートサロン2025練り歩き
2年ぶりの東京オートサロン取材である。
諸事情あって2024年は欠席したのだが、やはりクルマ業界の年明けはオートサロンを観なければ始まらない。1年行かなかっただけなのに、「いつもの場所」に戻ってきたような気がした。
今回は一般公開日に会場を訪れたのだが、相変わらず若い人が多くて安心した。ここにいると「若者のクルマ離れって、どこの国の話だ?」と言いたくなる。
クルマそのものもそうだが、タイヤ、ホイールをはじめとするカー用品、それも最新のものをたくさん観られるのもオートサロンのいいところだ。
チューニングやドレスアップは、いつの時代もクルマ好きの好物だ。自分だけのクルマに仕立てる楽しみは私にもよくわかるし、それこそ東京オートサロンの真骨頂でもあるだろう。数多くのブランドが出展しているのはたくさん売れているからこそで、めでたいことである。
東京オートサロンは「クルマ好きのお祭り」と言われるが、まったくそのとおりで、もはや日本各地で行われている伝統的な祭りのような存在になっている。実際、40年以上の歴史があるのだから立派なものである。
ただ、2年ぶりに観た東京オートサロンに「マンネリ」を感じたのも事実だ。世の中には「偉大なるマンネリ」というものもあって、昔と同じであることに価値がある伝統的なお祭りなどはその最たるものだが、さすがに東京オートサロンはそこまでの域には達していない。
【画像ギャラリー】2年ぶりの訪問……クルマ業界は元気だった!! テリー伊藤が見た東京オートサロン2025(14枚)画像ギャラリーすべて予定どおりに進んでいる
40年以上の歴史を誇るとはいえ、クルマというジャンル的にもまだまだ進化、変化が必要なイベントだろう。そのわりには「いつも同じ」の印象が拭えない。
主催者としては、何か新しい要素を付け加えたり変化させたりしているのかもしれないが、観終わった感想としては「今年もいつもどおりだったな」というのが正直なところ。出ているほうも観ているほうも「こなれている」のだ。すべてが予定どおりに進んでいるように見えるのである。
また、キャンギャルがいて音楽もかかって一見派手に見えるが、実は、お客さんのファッションは極めて普通でお祭りっぽさがない。
もしも出展しているメーカーやブランドがかっこいい応援グッズを配れば、みんな喜んで身に着けてくれるだろう。そうすれば会場がスポーツの応援席のように明るくなるはずだ。
それに、新年早々に開催するなら、最新テクノロジーで作られた大きなネオ門松を目立つところに置いてもいいし、大道芸人が会場のあちらこちらで芸を披露していてもいいだろう。
さらに言えば、会場の休憩スペースが少ないのも気になるところで、会場隅っこの壁にもたれて座っているお客さんは「東京オートサロン名物」になっている。各ホールの中央をセンスのいい広場にしたり、大きなブースを使う自動車メーカーも休憩スペースを提供すれば、雰囲気は大きく変わるだろう。
私もイベントを主催したことは何度もあるので、やるほうの苦労はわかっている。しかし、主催者が機械的にただこなすだけになってしまえば、その空気は絶対にお客さんに伝わってしまう。さらに成長するためには、今が踏ん張りどころではないだろうか。
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