ベストカー冬の風物詩、おなじみの「雪上テスト」。新井敏弘選手のドライブで、ランクル250と、最新の電動4WD車3台の雪上での実力をチェックした。ひととおり評価を終えた渡辺陽一郎氏に、今回の雪上テストを総括していただいた!!
※本稿は2025年2月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:中里慎一郎、トヨタ、日産、ベストカー編集部
テストドライブ:新井敏弘
取材協力:群馬サイクルスポーツセンター
初出:『ベストカー』2025年3月10日号
電動4WD雪上テストの結果は……?
アリアNISMOは、モーターの機敏な反応を生かして4輪の駆動力制御を綿密に行うが、真価を発揮するのは舗装路だ。雪道では制御の介入が強く、予想外の挙動を示す場面もある。
車両重量は2220kgと重く、挙動の乱れが拡大しやすい。4輪ABSの作動時期も早い。NISMOモードはパワフルだが舗装路向けで、雪道ではムダな挙動変化が生じる。スノーモードは雪道で運転しやすい。
アウトランダーは4輪の駆動力を綿密に制御して舗装された峠道でよく曲がるが、2024年10月の改良で、機敏に曲がる性格を少し抑えて後輪の接地性を高めた。開発者は「主に雪道の安定性を改善するため」と述べており、確かに舗装路から雪道まで運転しやすい。
雪道のカーブでアクセルを踏み込んでも、旋回軌跡が拡大したり後輪が外側へ横滑りしにくい。走行モードは7種類で、スノーモードは街中向けだから動力性能を絞るが安定性は高い。
マッドモードはアクセルペダルを踏み込むと空転を生じて面白いが、速くはない。スポーツモードかスノーモードを選ぶと舗装路も含めて安定性が優れている。
セレナのe-4ORCEはバランスがいい。後輪のモーターが相応にパワフルで車両を確実に押し出す。アリアなどよりボディが軽く、ミニバンとあって車両の基本設計が安定指向になることも、運転を楽しめる要因だ。
ランドクルーザー250は王道だ。雪道では後輪駆動ベースのランドクルーザー250は悪路走破力が基本的に高く、挙動変化も自然で先読みをしやすい。マルチテレインセレクトでは、オートモードの安定性が高く、ディープスノーでも適度に空転して楽しめる。
* * *
雪道の走破力を追求するなら言うまでもなくランドクルーザー250だが、運転のしやすさ、舗装路の安定性、後席の居住性や乗降性なども考えると、SUVではアウトランダーの評価が高い。さまざまな走りのバランスが優れているからだ。
そして今日の電動4WDは、セレナも含めて、積雪地域に対応できる水準に充分達している。
●雪上テスト採点チェック
○トヨタ ランドクルーザー250
・雪道での安心感:88点
・雪道での緊急時の走破性:95点
・一般道も含めた総合評価:70点
ランドクルーザーは雪道でも安定感があるため、安心して走ることができる。深雪などに遭遇しても脱出能力が高く頼もしい。
○日産 アリアNISMO
・雪道での安心感:40点
・雪道での緊急時の走破性:55点
・一般道も含めた総合評価:75点
最低地上高は165mmだし、NISMOのエアロパーツも装着されるので、SUVとはいえあまり深いわだちなどは慎重になる。
○三菱 アウトランダーPHEV
・雪道での安心感:75点
・雪道での緊急時の走破性:70点
・一般道も含めた総合評価:85点
最低地上高は200mmと高いため、ちょっと深めのわだちでも安心感がある。S-AWCの制御が緻密で、雪道でも安心感が大きい。
○日産 セレナe-4ORCE
・雪道での安心感:70点
・雪道での緊急時の走破性:58点
・一般道も含めた総合評価:68点
あくまでもミニバンなので深い新雪などには注意が必要。後輪モーターの制御が上手で、圧雪路での安定性が高い。
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