選択肢が狭まっていることに異議あり!! [レスオプション]がどんどん減っている謎

サプライヤーの部品供給対策としてのレスオプション

選択肢が狭まっていることに異議あり!! [レスオプション]がどんどん減っている謎
前後ドアにピラーを内蔵することでガバッと開くミラクルオープンドアやクラスを超えた室内空間を持つことで人気の「ダイハツ・タント」にもレスオプションが設定されている

 新興国の経済発展や新型コロナ感染症の拡大など、世界的な半導体不足やサプライヤーによる部品供給不足による、自動車メーカー各社の生産遅延はいまだその影響がくすぶっている。

 今でも注文しても数年待ち、というクルマが存在するほどだ。

 こうした状況の解決策として、自動車メーカーは半導体が必須の一部装備をレスオプション化し、少しでも納期を早めるなどの工夫をしている。「ダイハツ・タント/タフト/ムーヴキャンバス」に設定されている「eco IDLE 非装着者アイドリングストップレス仕様」がそれだ。

 正確にはオプションというよりグレードなのだが、いわゆるアイドリングストップ機能の非搭載グレードだ。これにより、通常モデルと比較し各モデル3万3000円安で購入できる。

 環境対策が叫ばれるなか、メーカーがエコ機能の非搭載グレードを設定した理由は前述のとおり、アイドリングストップ機構に関わる部品供給が不安定ななか、先進機能に見切りをつけることで車両を少しでも早く供給するためという苦肉の策だ。

 こうした取り組みは、新型コロナ感染症が猛威をふるっていた頃、他の自動車メーカーでも多くみられ、「マツダ・CX-5」は新型コロナのロックダウンによる半導体不足の影響から電動装備の一部をレスオプション化し、パワーリフトゲートレス仕様は5万5000円安で購入できた(現在は全車標準仕様)。

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趣味性の高いクルマは標準装備をレスオプション化

 メーカー純正品の標準仕様でなく、サードパーティから自分の好みの装備品を装着したい。そうしたこだわり派のドライバーにとって、交換が前提の標準装備を外し、そのぶん購入価格を減額できるレスオプションは魅力的なしくみだ。

 近年、SUVやスポーティな味付けのクルマでは、標準仕様がオーディオレス(配線リレーやスピーカーは標準装備)となっているモデルも珍しくはない。

 「トヨタ・RAV4」、「スズキ・ジムニー」はあらかじめオーディオレス、「スバル・インプレッサ」はオーディオレス仕様(7インチセンターインフォメーションディスプレイ+USB電源付き)が減額なしで選択可能だ。

 純正オーディオ以外の社外品を装着したり、スマートフォンをナビゲーションの代替として使用するため自分のライフスタイルに合わない純正オーディオは不要というわけだ。

 こうした趣味性に合ったレスオプションを設定しているのが「三菱・デリカD:5」だ。悪路での高い走行性能で知られる唯一無二の1BOXカーには、車高の高さを考慮した電動で昇降する後席のサイドステップが標準採用されているのだが、同車には「電動サイドステップレス」のレスオプションが設定されている。マイナス7万7000円と減額幅は大きい。

 電動サイドステップは、子連れのアクティブなユーザー層にとっては便利な装備に思えるが、不要とするユーザーも多いことからレスオプション設定されているというわけだ。

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エアコンなし、パワステなしの“すっぴんグレード”は淘汰されるべきか

 「トヨタ・GR86」のエントリーモデル「RC」グレードは、他グレードが標準仕様で17インチのアルミホイールを装着するのに対し、あえてホイールキャップすらない16インチのスチールスチールを標準仕様に採用している。

 これは販売価格を抑える目的のほか、タイヤ・ホイールの交換を前提として設定しているようで、実際、アフター市場には交換後の純正ホイール&タイヤが数多く流通している。レスオプション同様、ユーザーが望まない“標準装備の押し売り”をしない姿勢は評価されるべきだろう。

 ほとんどのクルマが標準装備は「全部入り状態」となっている今、少なくともユーザー側に装着の是非を選択できるしくみであるレスオプションはユーザーにとってうれしいしくみだ。

 オプションを細かく選択できるようにすれば自ずと生産工程を増やすことになり、コストアップにもつながりかねず、どこを標準仕様として線引きするのかは難しい問題だが、“すっぴん”装備のエアコンレス仕様だって購入でき、自分好みの一台を仕立てられた昭和・平成の新車購入を魅力的に感じてしまうのは自分だけではないだろう。

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