選択肢が狭まっていることに異議あり!! [レスオプション]がどんどん減っている謎

選択肢が狭まっていることに異議あり!! [レスオプション]がどんどん減っている謎

 自分好みのオプションを組み合わせて選べるのは新車購入の醍醐味だ。フルスペックの豪華仕様もよいが、そのぶんは販売価格へ上積みされるし、なかには自分にとって不要と思われる装備が“標準装備”である場合も。「レスオプション」はそうした不要な装備を外し、価格を減額できるしくみだ。

文/藤井順一、写真/スズキ、ダイハツ、トヨタ、マツダ、三菱自動車、写真AC

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選択すると装備がなくなる”レスオプション”

 30年選手のネオクラシックカーを所有している筆者のような者にとって、現代のクルマの豪華すぎる装備やオプションには毎回驚かされる。今や軽自動車だって自動運転や衝突安全といった先進装備の標準装着が当たり前だ。

 ある意味では“もてなしが過ぎる”メーカーの標準装備、オプションを外せるしくみが「レスオプション」、文字通り、特定のオプションを「レス(-less)=除く」することで、標準仕様から装備を変更したり、その分の差額を販売価格から減額できるしくみだ。

 クルマのオプションには、自動車メーカーが生産ライン上で装着するメーカーオプションと、販売店が装着するディーラーオプションのふたつに大別される。

 メーカーオプションは納車後には装着できないもので、ディーラーオプションは納車後もディーラーで後付けが可能な装備。レスオプションは基本的にメーカーオプションが対象となる。

 インターネットなどでクルマの「主要装備一覧」を検索すると、各グレードに設定されるオプションの項目の中に「非装着マイナス〇〇円」という減額のオプション表記が見つかる。

 標準装備をあえて外せるしくみを設けることでドライバーにとって不要な装備を変更し、場合によっては購入価格を抑えることも可能だ。現在、こうしたレスオプションが多く設定されているのが商用車のカテゴリーだ。

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レスオプションの対象は安全装備が多い…

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ショートホイールベースで、軽トラナンバー1の最小回転半径を誇る「スズキ・キャリイ」。現代でも5MTを設定する数少ないクルマでもある

 今や世界に誇るニッポン文化「軽トラ」の代表選手「スズキ・キャリイ」。

 軽トラックナンバー1の荷台フロア長、荷台床面地上高など日々、日本の現場を支えている働くクルマには、一部グレード(KCエアコン・パワステ/KCエアコン・パワステ農繁5MT)に「スズキ セーフティ サポート非装着車」というオプションが設定されている。

 これは、デュアルカメラブレーキサポート、誤発進抑制機能、ブレーキ制御付後方誤発進抑制機能、ふらつき警報機能、ハイビームアシストといった一連の先進安全装備、機能を非搭載とした受注生産モデルなので、厳密にはレスオプションというより非装着グレードといえるが、通常の装着車に対し、非装着では6万6000円(税込)安く購入できる。

 購入価格を7万円弱安くするために、現代のクルマには欠かせない予防安全機能を省くコストカットか、と思ってしまうが、工事現場や工場内といった特殊な使用条件が想定される商用車にはセンサーレスが望ましい場面もあり、こうしたレスオプションが設定されているようだ。

 キャリイと並び、働くクルマの代表格である「トヨタ・プロボックス」にも同種のレスオプションが設定されている。

 たくさんの荷物を運べる優れたパッケージ、無骨な機能美を思わせるシンプルな外観、近年ではアウトドア好きのキャンパーなどにも人気のプロボックス。

 走行性能の高さゆえ、高速道路の追い越し車線を走る様は“公道最速”ともささやかれる商用バンは、主要装備表を見れば、現代的な装備をほぼ網羅している。

 ハイブリッド車とガソリン車、全5グレードが用意されているが、そのすべてに衝突回避支援システムの「プリクラッシュセーフティ」や車線逸脱を防ぐ「レーンディパーチャーアラート」、夜間走行時の視界を確保する「オートマチックハイビーム」などを含む「Toyota Safety Sense(トヨタ・セーフティ・センス)」の非装着がレスオプション設定されている。

 現代のクルマは、衝突安全性能や予防安全性能が国土交通省などによって厳しく評価される。安全装備を全車に標準装備したうえでレスオプションを設けるのと、安全装備非装着のグレードに安全装備をオプション設定するのは、本質的に同じでも意味は違う、というのがグローバル企業のトヨタの考えなのだろうか。

 ちなみにトヨタ・セーフティ・センスを非搭載の場合、各グレード共通で4万4000円の減額が可能だ。

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