近年、中古車市場では特定の旧車が高額で取引されるケースが増えており、それに伴って車両保険を付保したいというニーズも高まっています。しかし、一般的に旧車は市場価値が低いため、車両保険をかけられません。今回は、旧車の保険事情と車両保険がかけられる可能性のある車種についてみていきましょう。
文:佐々木 亘/画像:トヨタ・日産・ホンダ
旧車が車両保険に加入できない理由とは?
古いクルマに車両保険がかけにくい理由は、車両保険が市場価値を基準に補償額を決定する仕組みとなっているからです。一般的にクルマは、年式が古くなるにつれて価値が下がります。
そのため、低年式車は修理費用が保険の補償額を上回るケースが多くなり、保険会社は契約を受けにくくなるのです。
また、車両保険は「全損時の補償」が基本となります。車両価値が低すぎると、到底全損時の修理費用は保険でカバーすることが出来ず、ユーザー側の契約メリットが極めて低くなってしまうのです。
但しこれはあくまで一般論。すべての古車が一律に車両保険の対象外というわけではありません。一部の「価値のある旧車」は、市場での取引価格が高く、適切な査定を受けることで車両保険に加入できる可能性があるのです。
旧車が破格の値段で取引されている?
価値のある旧車とは、市場でプレミア価格がついている車や、愛好家の需要が高い車のことを指します。
たとえば、1990年代のスポーツカーは現在でも根強い人気があり、日産のスカイラインGT-R(R32・R33・R34型)やトヨタのスープラ(A80型)などは、状態の良いものであれば1000万円以上の価格で取引されることもあるのです。
同様にホンダNSXも、国産スーパーカーとして高い評価を受けており、プレミア価格がついている車種の一つといえます。
また、漫画にも登場し一躍人気車種となったトヨタのカローラレビン・スプリンタートレノ(AE86型)も、かつては手頃な価格のスポーツカーでしたが、現在では300万円以上で取引されることも珍しくありません。
同じく日産のシルビア(S13・S14・S15)、特にS15型は高値で取引されており、状態の良いものは数百万円に達します。
こうしたクルマは、旧車であっても車両保険の付保が可能となるでしょう。
ただ、ここで気になるのは「購入価格=車両保険の補償額」になるのかという点です。現実的に多くの保険会社では、購入価格満額を車両保険として設定することは難しいでしょう。
その理由は、保険会社が「市場流通価格」や「適正な査定額」を基準に補償額を決定するためです。過去のデータや査定機関の評価をもとに上限額が決められることが常であり、中古車の一般的な流通価格や保険会社が設定する「参考価格表」が補償額を決める軸になります。
クラシックカーや旧車専門の鑑定なども考慮しますが、仮に購入価格が1,000万円であっても、保険会社が認める補償額は 600万~800万円程度に制限されるケースが多いでしょう。
購入する際は車両保険への加入可否と保険料について把握しておこう!
一部の保険会社では、クラシックカー向けの特約を提供していることもあり、こうした特約を活用することで保険に加入しやすくなります。
また、保険加入時に適正な査定を受けることも重要です。そのため、必ず売買契約書や見積書を保管しておきましょう。必要であれば、第三者機関で査定を受けることも大切です。
過去に筆者は、平成9年式のマークII(JZX100型・中古車購入金額300万円)に車両保険をかけた場合の保険料を計算したことがあります。年齢問わずの補償で月額21,200円という試算結果となりました。保険料を押し上げたのはマークIIの料率クラス。車両保険は10となっています。
ただ、市場価値が上昇し続けるクルマであることを考えると、万が一の備えとして検討する価値は十分にあるといえます。人気のある旧車の購入を検討している場合は、購入前に保険会社と相談して、最適な自動車保険を選ぶことも重要です。お高い旧車と自動車保険は必ずセットで考えましょう。
【画像ギャラリー】R34 GT-RにNSXまで凄い高騰!! 誰もが憧れの国産スポーツカー3選(21枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方