北米で発表された新型アウトバック。レガシィワゴンベースのボディは一変、ボクシーなSUVとなったが、その驚きは車内に乗り込んでも続く。今どきタッチパネルが当たり前なのに操作系は物理スイッチだらけ! いったいなんでなのよ?
文:ベストカーWeb編集部/写真:SUBARU
エアコン操作にも物理ボタンがずらり!
失礼な言い方だが、新型アウトバックの運転席回りを見るとひと昔前のクルマを思い出す。
そもそもセンターコンソールに立派なシフトレバーが屹立している。その操作も昔ながらのストレートゲート式(※マニュアルモードだけは横に倒す)だ。
空調も物理ボタンを押し分けるタイプ。温度調整もダイアルを回して行う。ディスプレイオーディオはどこかアナログテレビのような縦横比だし、その脇の目立つ位置には、ポツンとオーディオの音量つまみが付いている。
いったいなんでこんなインテリアデザインとなったのか。
これは編集部の予想だが、ひとつには新型アウトバックの持つラギッド感やタフネスさの表現があると思われる。新型フォレスターも同様なのだが、最新のスバル製SUVはあえて絶壁調のダッシュボードを用いて、「強さ」や「守られ感」を強調しているのだ。
手袋をはめてても確実に操作できる安心感!
しかしそれだけなら、スイッチを電子的なタッチ式にしても問題ないはず。あえてスバルがアナログスイッチを多用するのは、確実な操作、たとえばグローブを装着していてもあらゆる操作を間違えずに直感的に完了できることを狙ったに違いない。
一見当たり前のことのように思えるが、この思想は近年とても重要さを増している。
新しさやインテリジェントな感じを演出するために、近頃はスイッチの数を減らし、電子的に集約する流れが進んでいるが、スマホのようなタッチパネル操作は、凹凸がない平面上の小さな点をしっかりタッチしなければならないうえ、メニューが階層化されていて複数操作が求められる。おのずと直感的な処理が難しくなり、わき見をする時間も増えてしまうのだ。
実際、2024年に北欧のクルマメディアが行った実験によれば、物理スイッチとタッチスイッチのクルマでは、同じ操作を行うのに最大で4倍も差が生じた。欧州の車両安全評価機関であるユーロNCAPも、ウィンカーやハザードなど重要な5つの操作は物理スイッチであるかどうかを評価対象に加えるとしているのだ。
話を新型アウトバックに戻そう。操作しやすさという点からみると、アウトバックの操作系には絶大な安心感がある。あるべきものがあるべきところにある感覚で、さらにブライドタッチが求められる重要なスイッチは、それにふさわしい大切な位置に置かれているのだ。
モダンなスマートさは感じないが、あえてそれを選んだスバルの決断には頭が下がる。スバルのクルマ作りでは「総合安全」が重要なテーマだが、インテリアのおけるこうした配慮も、その大切な一要素なのかもしれない。
コメント
コメントの使い方SUBARUえらい!