■石川真禧照氏に聞いてみた
【編集部からのクエスチョン】石川さんはスプラッシュを2位に挙げ、これはほかの選考委員よりも非常に高い評価になっています。その理由は?
* * *
私のスイフトスポーツが1位という評価には、異論は少ないと思う。
スズキは、先代のスイフトスポーツで、スズキの技術陣がヨーロッパでの走り込みテストを実施しながらクルマ作りの大切さを身をもって体験した。さらに開発にはある程度のお金をかけなければ、それなりのクルマしかできないということも体験した。
こうして完成したスイフトスポーツは日本市場でもほかのスポーツハッチを抑えて、トップにランクされた。スズキの販売力で、あれだけ売れた(2013年7168台)ということは、いかにユーザーのほうからの指名買いが多かったか、ということにもなる。
で、2位としたスプラッシュだが、先代スイフトのプラットフォームをベースにヨーロッパでさらに走り込んで作られたモデルだ。それだけにハンドリングのしっとり感や、接地感のよさはヨーロッパのスポーティハッチと好勝負。
しかも、ヨーロッパの人たちはこの手のクルマには、かなり欲張った実用性を求めるのだが、それもクリアしているのだ。
高い全高と、ユーティリティ重視の室内もライバルを凌いでいる。何よりも激戦区のヨーロッパ市場で健闘しているのが、このクルマのポテンシャルの高さを物語っている。
クォリティに関してもピアノブラックのガーニッシュを使用するなど質感を向上させているのを見てほしい。
■渡辺陽一郎氏に聞いてみた
* * *
【編集部からのクエスチョン】ソリオを2位に挙げています。渡辺さんだけが上位にランクさせていますが、高評価の理由はどこにありますか?
「日本の開発者が日本のユーザーのために作ったクルマ」には軽自動車があるが、コンパクトカーではソリオが筆頭に挙がる。全長と全幅は5ナンバー車の最小サイズで、混雑した街中でも運転しやすい。
全高は1700mmを上まわり、後席を含めて居住性は快適。内装も上質だ。後席を畳めば自転車も積める荷室になる。
さらに高重心でも走行安定性に不満はなく、1.2Lエンジンでも力不足を感じにくい。
直近では安全装備を充実。ミリ波レーダーを使うのに衝突回避の自動ブレーキを時速30km以下の作動にかぎったのは残念だが、衝突警報は高い速度域までカバーする。3万6750円の低価格で装着可能とした。
スイフトスポーツは運転が楽しく、フィットハイブリッドも高機能だが、「日本のユーザーの移動をいかに安全で快適にするか」を考えた時、ソリオは一番の注目車。機能と価格のバランスで1位はフィットにしたが、ソリオの2位は当然だ。
また3位はキューブ、4位はスペイド&ポルテとした。両車ともに安全装備は手薄だが、居住性と積載性が優れ、キューブは内装が上質だ。スペイド&ポルテは荷室の使い勝手と助手席の乗降性が優れている。
セダンが肥大化した今、お年寄りのいる世帯を含め、日本のユーザーが安全/便利/快適に使える割安なクルマは選びにくい。登坂路の多い地域などで軽自動車が使いにくい場合、コンパクトカーが必然の選択になる。その背景には国内の切実なニーズがあり、車内の広い背の高い車種が上位に入るのは当然だと考える。
(写真、内容はすべて『ベストカー』本誌掲載時のものですが、必要に応じて注釈等を加えている場合があります)

コメント
コメントの使い方