■国沢光宏氏に聞いてみた
【編集部からのクエスチョン】国沢さんがハイエースを1位とした理由は何ですか? そして、このクラス最新のノア/ヴォクシーの評価は?
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何度も書いているとおり、今回のランキングは「自分で買うなら順」である。このクラスのクルマを買うとすればハイエースがショッピングリストの最上位にくるということ。なぜか? ハイエースを凌ぐ魅力持つクルマが存在しないからだ。
実用車として乗る場合、燃費のいいエンジンを搭載し、自動ブレーキなどの安全装備が条件となる。ノア/ヴォクシーのハイブリッドなど燃費という点じゃ好ましいけれど、自動ブレーキがないため4番手。毎日乗るクルマには本心で「自動ブレーキが絶対必要」と思ってます。
ハイエースやキャラバンNV350を上位にランキングしたのは、趣味のクルマだからだ。スポーツカーなどと同じ区分ですね。今だってスポーツカーを買うなら自動ブレーキにこだわらない。そもそも安全性ばっかり考えているワケじゃありません。だからこそ林道を全開で走るラリーに出てるし、シートベルトすら付いてないバイクに乗る。でもバイクに乗る時はヘルメット被るし、可能なかぎりプロテクター付き(エアバッグ付きのジャケットも持ってる)を装着している。いかなる時でもベストを尽くしたいワケ。
私の順位から趣味のクルマを除いたのが、実用車のランキングになる。わりとコストパフォーマンスの高い自動ブレーキを選べるようになったセレナが1位。燃費いいノア/ヴォクシーHVは2位。ハイブリッドじゃなくても意外に燃費いい普通のエンジンのノア/ヴォクシー3位といった具合。もし次期型ステップワゴンに欧州で販売している1.6Lディーゼルを搭載し、簡易型じゃない自動ブレーキでも採用してきたら、文句なしに1位になります。私だって欲しくなっちゃうかも。
■渡辺陽一郎氏に聞いてみた
【編集部からのクエスチョン】渡辺さんの順位づけでは全体的にハイブリッドモデルの順位が低くなっていますが、それはどうしてですか?
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全高が1700mmを超えるミニバンは、趣味性よりも実用性が重視される。大半のユーザーが子育て世代のファミリー層で、養育費などの出費も多い。そのためこのカテゴリーのクルマ選びは損得勘定が重要になる。
その結果、ハイブリッドは順位を下げた。背の高いミニバンのハイブリッドは全般的に価格が高く、ノーマルエンジン車でもエコカー減税の対象に入る。そうなると、ハイブリッドのほうが燃費がよくても、燃料代の差額で購入時の価格差を取り戻すのが難しい。
例えばヴォクシー/ノアでは、装備の違いを補正しても、ハイブリッドの価格はノーマルエンジン車より33万円高い。ノーマルエンジン車も免税だから、実用燃費で計算して、8万5000kmを走らないと33万円の実質価格差をガソリン代で埋められない。
ヴェルファイア/アルファードは、ノーマルエンジン車の減税率が75%だから、約7万kmで価格差が埋まる。しかし運転感覚が不満だ。2トンを超えるボディを支えるため、タイヤは空気充填量の多い16インチ。ハイブリッドモデルは操舵感がノーマルエンジン車よりも極端に鈍く曖昧になる。
フリードハイブリッドはモーターの駆動力で非力なエンジンを支援する面もあるが、燃費性能が伸び悩むからメリットが乏しい。ハイブリッド化に伴う価格上昇は実質14万円。5万km程度で差額は埋まるが、エアロパーツを備えるから価格は2Lクラスのミニバン並みだ。
以上のようにミニバンのハイブリッドは損得勘定で不利。1年間に1万5000km以上を走らないと推奨しにくい。ノーマルエンジンを積んだ実用指向のグレードを選びたい。
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