STIが手がけるコンプリートモデル、S210の抽選エントリーが5月下旬から始まるのを前に、プロトタイプ試乗会が開催された。Sシリーズ初となる2ペダルモデルだが、シャシーが素晴らしく、エンジンパワーを使いきれる魅力的なクルマに仕上がっていた!!
※本稿は2025年4月のものです
文:国沢光宏/写真:森山良雄、STI
初出:『ベストカー』2025年5月10日号
800万円オーバーでもMやAMGに匹敵する乗り味
新型車試乗会では乗る前にスペックや特徴などの説明を受ける。今回もベースとなったS4との違いについて話を聞いた。
長い間この仕事をしていると、概要でおおよそのイメージが湧く。そんな感覚でS210のハンドルを握って走り出すと「あらま! 全然違うじゃないの!」。いい意味で想像を大きく超えてきましたね!
こんな評価が妥当かわからないけれど、日本車じゃないみたい。乗り味として近いのはBMWのMやベンツのAMGである。
試乗コースは伊豆・修善寺のサイクルスポーツセンター。ここはタイヤマークやスキール音を立てられない。写真を見てわかるとおり、けっこうなウェットです。これなら音なんか出ないから思いきり走れる(笑)。
普通ならウェットは滑りやすく、クルマの挙動だって唐突に出てしまう。なのにS210ときたら相当のペースでコーナーをクリア。クリッピングポイントからアクセル全開を楽しめ、ブレーキングポイントを深く取ったって不安はなし。
競技スペックのスキー板や自転車、ゴルフクラブがそうなように、対応遅れがないのだった。路面の感覚はハンドル&クルマと一体化しているシートからドライバーに細かく伝わってくる。ブレーキをかければ減速したいぶんだけ細かくコントロールできる。
その昔「ポルシェを着る」という表現方法もあったけれど、おそらくガンダムのようなロボットを操作して戦うと、そんなイメージになるかもしれません(操作したことないですけど)。
300馬力を使いきれる! CVTのレスポンスも良好
CVTのレスポンスも良好でエンジンも磨き込まれている。絶対的な出力こそ300馬力で、昨今の怪物のような暴力的なパワーじゃない。
とはいえ一般道を走るには必要にして充分過ぎる動力性能を確保し、加えてアクセルを踏んだ時のコントロール性も素晴らしい。駆動系はトルコン+CVTなのだけれど、対応遅れを感じさせず。
ウエットのワインディングロードを走りながら、よくぞこんなクルマを作ったものだと感心しきり。ついにドイツ車に追いつきましたね。
唯一の問題はこのよさを理解し、それに対する「それなりの金額」を出すお客さんがスバルに残っているかどうか、です。販売店情報によれば860万〜880万円とのこと。
結構なお値段だ。しかし、そもそも使っているパーツからして世界の一流品だ。レカロのバケットシートにブレンボのブレーキ、ザックス(ZF)のダンパー、ミシュランのパイロットスポーツ4Sときた。
この4つだけでも後から買えば軽く200万円以上する。「同じような性能」であれば10分の1で手に入る。違いのわかる人でないとS210の価格を見て「魅力的だけど高い」と思うだろう。
S210は500台の限定だという。ひと回り大きいボディ/パワーのあるBMW M3の1430万円やAMG C43の1279万2000円を考えたら納得できるプライスです。
少し心配なのがWRX S4の人気度です。標準車だって魅力的なクルマであり、昨今の高性能日本車ブームからすればもっと売れていい。しかし、先代より排気量の大きいエンジンを搭載しながら伸び悩んでしまっている。瞬時に500台のオーダーが入らなければ、スバルのイメージの問題かもしれません。
●S210の専用足回り&メカニズム
・255/35R19タイヤ(ミシュランパイロットスポーツ4S)
・ZF製電子制御ダンパー&専用コイルスプリング、コントロールユニット
・専用ドライブモードセレクト、STI製ラテラルリンクセット
・STI製フロントフレキシブルドロータワーバー
・STI製フロント&リアフレキシブルドロースティフナー
・STI製リアスタビライザーブッシュ、専用エンジンコントロールユニット
・ミッションフルードクーラー&専用トランスミッションコントロールユニット
・ブレンボ製フロントモノブロック対向6ポッドブレーキキャリパー
・ブレンボ製18インチドリルドディスクローター、専用ブレーキパッド
・レッド塗装リアブレーキキャリパー&STI製ドリルドディスクローター
・専用低排圧パフォーマンスマフラー&専用エキゾーストパイプ
・専用ブレーキブースター制振材
・専用マルチモードVDC&アクティブ・トルク・ベクタリング
●S210の主なインテリア特別装備
・RECAROバケットタイプフロントシート(本革、カーボン製バックレスト)
・本革リアシート、運転席&助手席パワーシート、S210専用刺繍インパネ
・表皮巻+ブラックステッチ
・インパネミッドトリム&ドアトリム
・STIオーナメント入り本革巻ステアリングホイール&シフトレバー&シフトブーツ
・ピアノブラック調フロント&リアインナードアハンドル加飾パネル
・センタートレイ加飾、専用フロコンソールリッド&ドアアームレスト
・STI製プッシュエンジンスイッチ、STIシリアルナンバープレート
●S210プロトタイプ 主要諸元
・全長×全幅×全高:4690×1845×1465mm
・ホイールベース:2675mm
・エンジン:水平対向4気筒2387ccターボ
・最高出力:300ps/5000rpm
・最大トルク:38.2kgm/2000~5600rpm
・トランスミッション:マニュアルモード付CVT
・車両重量:1630kg
・サスペンション:前ストラット 後ダブルウィッシュボーン
・タイヤサイズ:255/35R19
・価格(ディーラー調べ):860万〜880万円

































コメント
コメントの使い方今の国に1円足りたも支払いたくないので2リッター超え、1.5t超えの車になったのは「あぁ、売れてる市場の北米にしか視野が無いんだな」って見ているよ
それに合致する車、しかも6速マニュアルまであるの他社で有るでしょ?要らないよもう
スープラfinalと馬力もカーボンパーツの量も全然違うのに、なぜ値段が近いのか分からない。
売れてしまうから値段釣りあげる、をやってしまうと本当に欧州メーカーと同じ穴の狢