多くの人が買い物に繰り出すのは、土日祝日だ。カーディーラーも多分に漏れず、土曜・日曜・祝日の来店客数が多くなる。しかし、GWやお盆、そして年末年始の大型連休に、連続して店休日を設けるディーラーが結構多い。これは一体なぜなのだろうか。一昔前とは理由が少し違う、今のカーディーラーの、なが~いGW休業に迫る。
文:佐々木 亘/画像:Adobe Stock(トビラ写真=buritora)
【画像ギャラリー】ディーラー界も働き方改革の時代! 店舗一斉休業日も珍しくない!?(3枚)画像ギャラリーテレワークなどが当たり前になり平日も忙しくなったディーラー
これまでカーディーラーにとっての土日・祝日は、まさに勝負の日だった。最も来店客が多く、顧客との約束も取り付けやすい土日は、成約につながる商談がおのずと増える。
また土日の営業では、細かな来店客の数や、商談数、試乗や査定の数などを集計し、営業活動の可視化を図るお店も多い。自身の査定(人事評価)にも響くため、営業マン個人にとっても、土曜・日曜の活動は大切なのだ。
ただ、こうした動きは時代の変遷により少しずつ変化してきている。コロナ後からユーザーの仕事形態が変化し、土日祝日に集中していた来店客数が、平日へとバラけるようになってきた。祝日だから店を空けなければならないという感じも、昨今は薄まってきている。
その傾向は定休日を見ると顕著。かつては定休日が祝日と重なった場合、お店を開けて後日に振替休日を設定するお店が多かったのだが、今は定休日と決まれば旗日でもなんでもディーラーは休むことが増えた。
社会情勢の変化も鑑み、カーディーラーにおけるGWの休み方は、年々変化してきているのだ。
GWは売らない日!? 困ったユーザーの駆け込み寺だけを用意する
GWなどの大型連休は、たまの長い休みだからと家族で旅行や帰省を計画している人が多いのではないだろうか。わざわざ大型連休の頭から、カーディーラーに行こうなどと計画する人は少ないと思う。
GWのような大型連休になると、ショッピングモールや観光地などはにぎわうが、自動車ディーラーは閑散とするのだ。これは今も昔も変わらないのだが、閑散の仕方が10年前の比ではない。
働き方改革やテレワークの普及により、ユーザー側も「連休だからまとめてクルマの用事も済ませる」という人は少なくなり、通常の平日で事足りる機会が多くなった。近年の傾向から、それが分かっているカーディーラーは「それなら私たちも休みにしよう」と、お店を閉める方向に動いている。
特に、営業部門(車両販売)は完全に閉めるところが多くなった。逆に長い休みの期間中、クルマに何かがあった際の駆け込み寺的役割を果たすため、GW中は一部店舗のサービス部門だけが短縮営業で運営する店舗もある。
正月は営業部門だけが出勤して、サービス部門はお休みというケースが多いのだが、GWはその逆の人員配置なのだ。
王道は4月29日から5月5日までの休み
最近の傾向では、昭和の日から子供の日までの1週間をGWの店休としているようだ。それも、全店休業とするディーラーが少しずつ増えてきた。
これには前述の「開けていても仕方ない」という理由があるのだが、もうひとつ、時代に合わせた大きな理由がある。それは、働き方改革などが大きく関係していると言っていい。スタッフ、特に営業マンにしっかりとした休日を与えるために店舗一斉休業日を増やしているのだ。
これまでカーディーラーでは、週に1回の定休日を設け、月内に4日ないし5日の個人休を設定しながら働くことが主流だった。しかしスタッフ個人が休んでいてもお店は動いている。お店やお客様からは個人休でも連絡が入るから、営業スタッフは休んだ気がしないのだ。
ならばと時代に合わせた動きを取る販売店は、月の定休日を増やす方向に動いた。隔週の定休日の前後に新たな定休日を設定し、全店・全スタッフがピタリと合わせてお休みを取れるようにしている。
GWやお盆・正月も、全店休業が取りやすい期間だから、労働環境の改善を目的に全店休業の長期連休を設定するのが最近の流れ。カーディーラーを取り巻く労働環境も、少しずついい方向へと変わってきている。
確かにGWのディーラー連休は長いが、これも働くスタッフのリフレッシュ期間。担当スタッフの元気な姿を見るために、私たちも少し不便は感じなければならないだろう。
故障が起きないように、クルマの整備はGW前に。また、万が一の故障の際に焦らないように、連休前にはJAFなどの窓口を確認しておき、楽しいGWを「みんな」で過ごしてほしい。






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