世界に高級車は数々あれど、別格の存在感を放つのが英国のロールスロイスだ。多くのクルマ好きがその名を知るが、そのシートに身を沈めたことのある人は少数ではないだろうか。ロールスの神々しいまでの非日常の世界を垣間見てみよう!!
※本稿は2025年4月のものです
文:ベストカー編集部/写真:ロールスロイス ほか
初出:『ベストカー』2025年5月26日号
車内で「満開の桜」を愛でる
ロールスロイスには「ビスポーク」と呼ばれる、オーナーの好みにより世界に一台のモデルが作れるサービスが存在する。
ここで紹介するチェリーブロッサムも、ビスポークによって誕生した唯一無二のファントムで、名前のとおり、インスピレーションの源は日本の春の風物詩、『花見』。
後部座席に座った時に咲き誇る桜の下に座っているかのようなリアルさを追求し、ヘッドライナー(天井の内張り)に満開の桜の刺繍が施されている。
満開の花びらを付けお互いが絡み合う枝、舞い散る花びらの儚さを表現するために日本の伝統技術の畳織の手法が取り入れられている。
この立体的な刺繍のステッチは実に25万針を超え、11のパネルをつなぎ合わせることでリアルな立体感を実現している。光が差し込めば生きた桜のごとく、さまざまな表情を見せる。
インテリアの仕上げとして、ロールスロイス初の彫刻的な3D刺繍による淡いピンクの花びらが各所にあしらわれている。
煌びやかさと儚さをリアルに表現するため、構想3年、刺繍だけで3週間、製作に6カ月を要した特別な世界に、ただただため息だ。
車内で「皆既日食」を堪能
皆既日食にインスパイアされたゴーストが登場したのは2023年10月。世界限定25台が販売され、ロールスロイス史上最も幻想的な一台と言われている。
スターライト・ヘッドライナー(詳細は下)には月のシルエットを囲むように星がちりばめられ、940個の星による輪、192個の星による光環、皆既日食特有の鈍い光を放つ星が刻々と表情を変える。
7分31秒間の幻想的なバーチャル皆既日食ショーが車内で展開される。まさに皆既日食を車内で独り占めするというこの贅沢感が特別な世界たるゆえん。
リリカルコッパーのボディカラー、陽光を模したマンダリンの差し色など、こだわりも異次元。
スターライト・ヘッドライナーは常に進化を続ける
スターライトヘッドライナーは天井の内張りレザーに800~1600の穴を開け、光ファイバーによって天井に満天の星を再現し、車内プラネタリウムを実現。ビスポークの重要アイテムで、チェリーブロッサムのように星以外の表現にも応用され進化。
ビスポークの最高峰「コーチビルド」の世界
ビスポークはロールスロイスのオーダーメイドで、素材、色、アクセントデザインなどを自由に選択できる。それに対しコーチビルドは、ボディデザインまで変更したスペシャルなロールスロイスだ。
これまでドロップテイル、ボートテイル、スウェプテイルというスペシャルなリアデザインが与えられたモデルが存在し、全身から特別なオーラを放っている。
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