ワタクシ企画担当、かれこれ15年来の腰痛持ちなんですが、これが最近激しく悪化してまして、クルマの長時間の運転がしんどいのなんのって……。というわけで、クルマの運転にも密接に関係してくる目の老化、そして腰痛や五十肩など、身体のコンディションを整えるセルフケアを考えていきたいと思います!!(本稿は「ベストカー」2013年10月10日号に掲載した記事の再録版となります)
文:長野潤一、編集部
「スローエイジング」のススメ 最高齢の現役レーシングドライバー 58歳の松田秀士選手がいまも走れるワケ
昨年(2012年)まで現役バリバリ、GT300クラスのランボルギーニ・ガヤルドでGT選手権レースを走っていた松田秀士氏。1954年12月22日生まれの58歳である。
本人を目の前にすると、とてもあと2年で還暦とは思えぬ若々しさ。老化と無縁のうらやましい特異体質なのでは!? と思ってしまうが、本人に話を聞くとちょっと事情は違っていた。
●老眼の進行とともにクルマの運転はヘタになる!
「老化は誰にだって訪れます。実際、ボクは39歳の時に老眼を意識しました」と松田氏は言う。そのうえで「でもボクは長くレーシングドライバーを続けていたいと思ったんです。しかも、それは草レースレベルの話ではなく、全日本選手権クラスのレースでプロのドライバーとしてトップ争いをできる、という意味でです」。
確実にやってくる老化。ならば少しでも老化の速度を抑えることはできないか!? 松田氏は老化に対抗する『アンチエイジング』ではなく、「スローエイジング」という考えに至ったのだという。
目の衰えはレーシングドライバーにとって致命的だ。老眼とは、単に近くのものが見えにくくなるというだけではない。老眼の進行とともに、ほぼ同時進行で動体視力の低下や周辺視野の低下、さらに乱視などが起こるという。
ここで担当ウメキ(48歳)はハッとした。
最近、クルマの運転が明らかにヘタになったなぁ……と感じていたのだ。実は2年ほど前から細かい字が見づらくなって今年に入って老眼鏡というヤツをかけ始めた。
「モノというのは目ではなく脳で見ているんです」と松田氏は言う。
つまり、目から入ってきた情報を脳が情報処理して「画像」として認識する。老眼になるとピントの調節に時間がかかったり周辺の視野が狭くなる。脳に伝わる情報量が少なくなる。するとどうなるか!?
脳はこれまでの経験から情報を補完して処理してしまうのだ。
若い頃はパッパッパッと視線を移動させながら前方やルームミラー、サイドミラーを確認して情報処理を瞬時にできていた。しかし、老化とともにこれができなくなっているのだ。
でも、脳は『見えていない』ことを嫌がるので『見えていたことにして』情報処理をする。
車線変更の際にハッとすることが増えたという方も多いのではなかろうか!? かくいう担当ウメキもその一人。「ちゃんとミラー見てクルマがいないのを確認したはず」なのにビーとクラクションを鳴らされてハッと気がつくというパターン。
状況判断能力が低下して、以前だったらパッとできた車線変更に躊躇してしまい、結局タイミングを逸してしまうというケースも多々ある。
「典型的ですね。本人は見えているつもりなんですが、目からの情報は脳に届いていない。見えているように認識しているのは、脳が補完した画像なんです」と松田氏。
●メガネをかけたら老眼は進行する、は大きな誤解!
老眼を感じたならただちに眼科医で診察を受けて適切な老眼鏡を作るべきだと松田氏は力説する。
「老眼鏡をかけると老眼が進行するというのは間違い」と断言。むしろ、適切なメガネをかけることで老眼の進行は抑えられるという。
老眼なのに意地を張ってメガネをかけずにいると、水晶体を動かす目の筋肉がいつも緊張することになるばかりか、網膜上にぼやけて結像した情報を脳が読み取ろうとして大きな負担がかかり脳も疲れてしまう。
脳をパソコンに置き代えるとわかりやすいのだが、負担の大きな作業をPCに強いると、同時進行で別の作業ができなくなったりする。これと同じことが脳の中でも起こるということ。適切な老眼鏡を使用することでこの問題は解消する。
そのうえで「スローエイジング」だ。老眼になると眼球の動きが少なくなるので、意識的に眼球を動かしてやることが老眼の進行を抑えるトレーニングとなるのだ。
クルマに乗っている間にもできる。例えば頭を動かさないように固定して、目の動きだけで左右のドアミラーをパッパッパッと見るのは効果的。たまにルームミラーも含めて左右、上下に眼球を動かしてやるのだ。
雨降りの日だったらワイパーの動きを目で追うのもいいトレーニングになる。とにかく眼球をキョロキョロすばやく動かすことが大切だ。
●バランスボールで体幹を鍛え腰痛を抑える
「ボクはベッドの横にバランスボールを置いて、朝目が覚めたらまずバランスボールに乗ることから一日が始まるんですよ」と松田秀士氏。
バランスボールに上手く座るには骨盤の上に上半身を乗せる、正しい姿勢が必須なのだという。そうしなければバランスが取れず転んでしまう。
この姿勢こそ、腰痛防止のキモ。自宅のソファに座る際も、クルマのシートに座る際もこの『骨盤の上に上半身を乗せる』を意識する。
特にクルマのシートではやや立て気味のシートバックにしっかりと背中を付けて腰を奥深くに送り込む。腰がシートバックから離れていると不自然な姿勢となり腰周辺の筋肉が緊張した状態が連続し、血流が悪くなり腰痛の原因となる。
正しい姿勢で着座できているかの目安となるのが左足。2ペダル車がほとんどのいま、左足は所在なく遊んでしまっていることが多いのだが、走行中に左足で踏ん張るような状態になっているとしたら、それは正しい着座姿勢が取れていないためである。
















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