安全装備を「過信」するべからず!! ついついやっちゃう「頼りすぎ」装備の限界

誤発進抑制装置は、網目フェンスを検知しにくい

 誤発進抑制装置は、停車または低速走行中に、前方または後方に障害物がある状態でアクセルペダルを強く踏み込んだ場合に、エンジン出力を抑制し、急発進を防ぐ機能だ。最近では軽自動車でも装備されるようになり、たとえばスズキでは、前方約4m以内に障害物を検知している状態で、アクセルペダルを強く踏み込んだ場合に作動する。

 ただ、この装置も、超音波センサーやカメラの性能には限界があり、網目状のフェンスや鋭角的な形状の障害物など、センサーが検知しにくい対象物に対しては、システムが作動しない場合がある。また、悪天候や夜間、逆光などの状況でも、センサーの認識性能が低下し、システムが適切に作動しないことがある。

 そのため、誤発進抑制装置が装備されていても、ドライバーは周囲の状況と適切な操作に十分に注意が必要なのだが、誤発進抑制装置に関しては、誤認識でのシステム作動も多いことで、機能をOFFにしてしまっているケースも少なくないようす。 

 アイサイトでお馴染みのスバルによると、立体駐車場の急なスロープを障害物として認識してしまったり、踏切の遮断機や駐車場、ETCのバーを障害物として認識することもあるとのこと。運転していて、こうした誤認識が頻発すると、ついシステムをOFFにしてしまいがちだが、そうするといざという時に作動しないため、注意が必要だ。

日産は「360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)」という名称で先進機能をアピール。死角が少ないイメージではあるが、もちろん万能ではない
日産は「360°セーフティアシスト(全方位運転支援システム)」という名称で先進機能をアピール。死角が少ないイメージではあるが、もちろん万能ではない

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 これらの先進装備は、ドライバーの運転を支援し、事故リスクを低減するための「補助」機能だ。国土交通省や各自動車メーカーのホームページでも、運転支援システムには機能の限界があり、条件によっては作動しないことや、使用中に突然機能が停止することがあるため注意が必要とされている。

 ドライバーは、これらの安全装備に依存することなく、「手伝ってくれている」という意識で安全運転ができるように注意を払うことが必要。多くの安全装備が「自動運転レベル2」の段階である現状では、最終的な安全の責任はドライバー自身にあることを忘れないようにしなければならない。

 ただ、誤解してほしくないのは、「それでも自動車の安全装備は日々進化しており、交通事故や事故死傷者数の抑制に多大な寄与をし続けている」ということ。衝突軽減ブレーキは重大事故を19%、死亡事故を15%抑制するというデータがあり、エアバッグとESC(電子制御聖堂装置)の両方を装備した車両は、走行距離あたりの死亡率を約23%低減する(グローバルで)という推計もある。

 だからこそ、安全装備の重要性と使い方、「限界」を正しく理解し、うまく活用することで技術進化を加速させ、ドライバーも一緒に進化し、より安全な交通社会を目指していこう。

【画像ギャラリー】最新の安全運転支援機能を搭載している スバル「レヴォーグ」(12枚)画像ギャラリー

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