クルマ購入の際、あれこれと気遣いしてくれるディーラーはありがたい存在。しかしそのジェントルな接待に気を許し、太っ腹な契約をしてしまうとあとで後悔することも……。そんな事態を招かないために、ここではディーラーサービスのメリットとデメリットをチェックしてみよう。
文/鈴木喜生、写真/写真AC
【画像ギャラリー】ディーラーの言いなりはもう卒業!(7枚)画像ギャラリーオプションはつい勢いで取り付けがちだが…
ディーラーの「お薦め」の代表例は、新車購入時のオプション。確かにローンに組み込めるし、取り付けの手間もかからない。新車保証も効くので、いろいろとメリットはある。とはいえ「なんとかなるだろ」なんて気持ちで購入してしまうと、「支払いがきつい……」なんてことに。
そもそもオプションには、「メーカーオプション」と「ディーラーオプション」がある。前者のメーカーオプションは車両の製造過程で組み付ける必要があり、後付けが難しいものが多い。装着の有無が、中古車のリセールバリューに影響することもある。
いっぽうディーラーオプションは、車両完成後に取り付けるものが基本。ドライブレコーダーやナビ、ETCなどがあるが、自分で作業する手間が省けて、乗り出すときから機能が利用できる点は便利だ。
とはいえこれらには、カー用品などで装着できるものもあるから、「機能などを比較したら市販品のほうが自分に向いてた」なんてこともある。実際カー用品のアンケートで「これは余分だったかも」という声が多いのは、ナビやドライブレコーダー、フロアマット、ボディコーティングといった項目だそうだ。
機能や使い勝手をじっくり考えて選びたいということであれば、新車契約時に無理やり装着する必要はない。ここは一呼吸入れて、慎重な検討が望ましい。
「すべておまかせ」の部品交換・整備は高くつく
車検や点検の際に、ディーラーから薦められる部品交換なども落ち着いて考えたいところ。
一般的に、安全性を確保するための消耗部品の交換や、トラブルを未然に防ぐための予防整備は重要だが、「すべておまかせ」で依頼すると、これまた費用が予想外に膨らむことがあるからだ。
こいつを避けるには、必要最低限の整備だけを希望することをディーラーに伝えておき、作業前にメニューと予算を見積もってもらうことが大切だ。
また、ディーラーの説明や見積もりに疑問を感じたら、別のディーラーや整備工場など、セカンドオピニオンを求めるりもひとつの手だ。同じ系列のディーラーでも、担当者によって推奨内容が異なる場合があるためだ。
ただし、何でもかんでも安上がりに……と考えてはダメ。安全性に関する部品交換はケチらないことは鉄則だ。
いっぽう、長期的なコストの抑制、走りや快適性の向上、キャンペーンの特典やリセールバリューの向上を理由に薦められた場合は、自身にとって本当に必要かどうかを冷静に見極めたい。
もしユーザー自身が車両のメンテナンスに関する知識が乏しく、施工の必要性の判断がつかなければ、詳しい人に相談したり、交渉の代行をお願いするのがよいだろう。
ディーラーローンに関しては意外とアリ

クルマを買う時、つい本体価格やオプションに目が行きがちだが、実は「どんなローンを組むか」も意外に重要なポイント。最近はディーラーローンの利便性に軍配が上がる場面も少なくない。
大きく分けると、マイカーローンには2種類ある。ひとつは、ディーラーが紹介してくれる「ディーラーローン」。もうひとつは、銀行や信金などが提供する「マイカーローン」だ。
銀行ローンの強みは金利の低さ。保証料込みだったり、繰り上げ返済の手数料がゼロだったりと、コスト面ではやっぱり魅力的。ただし、そのぶん事前準備が必要だったり、審査がやや厳しめだったりする。
そこへいくとディーラーローンは、話が早い。購入時にその場で申し込みができて、審査もスピーディー。最短で当日中にOKが出ることもあり、審査基準も銀行よりやさしめ。つまり「今すぐ乗りたい」派にとっては頼れる存在だ。
しかも、ディーラーローンならではのローンプランも用意されているのがポイント。「フルローン」と「残価設定ローン」だ。これは銀行のカーローンには基本的にない、ディーラーローン独自のしくみ。
フルローンは、その名のとおりクルマの購入代金すべてをローンでまかなうスタイル。頭金ゼロでもOKというケースが多く、まとまった資金がなくてもすぐに新車に乗れるのが魅力。
一方の残価設定ローンは、数年後にそのクルマを同じディーラーへ下取りに出すことを前提とし、あらかじめ設定された「残価(予想下取り価格)」を最終回の支払いに据え置くかたち。残りの金額を分割で払っていくので、毎月の負担が軽くなる。支払い期間が短くなるぶん、トータルの金利も抑えられる傾向がある。
さらに、ローンが終わった後は「クルマを返却する」「差額を払って乗り続ける」「新しいクルマに乗り換える」といった選択が可能。ライフスタイルや好みに合わせた柔軟な使い方ができるのも、うれしいところ。
もちろん注意点もある。ディーラーローンでは保証料がユーザー負担だったり、繰り上げ返済に手数料がかかることも。それでも、「話が早い」「その場で完結」「選べるプランが多い」と三拍子そろえば、選択肢としては十分に魅力的だ。
住宅ローンなどですでに取引のある銀行があれば、そっちの金利優遇も要チェックだが、ディーラーで相談してみて「これは便利かも」と思えるなら、迷わず選ぶのもひとつの手。
いずれにしても、どのローンが合うかは、クルマとの付き合い方次第。選び方ひとつで、カーライフの満足度はグッと上がる。ローンを組んだ後に焦ったり悩んだりしないように、最初に納得できるほうを選びたい。
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