10年経っても今なお現役!? それでも生産終了されない「長寿モデル」が、なかなか新型を出せない理由とは。
自動車メーカーは、人気のある車種にはどんどん投資をし、人気が落ちないうちに新型車へ刷新するが一般的。逆に人気の出なかった車種は、1世代で生産中止になることもある。
しかし、廃止されることもなく、それでいて新型が登場することもなく、長年「現役」を続けているモデルもある。
長く売り続けられること=ユーザーからの支持の裏返しでもある。なぜ、そうした長寿モデルの新型は出ないのか。背景にある事情を探る。
文:吉川賢一
写真:編集部
【画像ギャラリー】まだまだある!! 現役長寿モデル 全10台!!!
三菱 デリカD:5/2007年発売
デリカD:5が発売されたのは、13年も前のこと。
一般的な車種ならばフルモデルチェンジを2回していてもおかしくない年月が経過しているが、その間、何度かのマイナーチェンジ経て生産は続けられている。
2019年2月に(ディーゼル車のみ)フロントマスク、エンジン、安全装備などを刷新するビッグマイナーチェンジが行われたが、基本的には同じモデルを作り続けている。
例えば、2018年に新型となった「スズキ ジムニー」は、フルモデルチェンジでも、ほとんどそのコンセプトは変わらなかった。
デリカD:5は、このジムニーと同じく、唯一無二の地位を築くことに成功したため、モデルチェンジをする必要がないのだ。
トヨタ アクア/2011年発売
発売からすでに9年目となる、トヨタ アクア。いつの間にか長寿モデルとなってしまった。
とはいえ、販売台数は未だトップクラスであり、2017年は13万1615台(登録車第3位)、2018年は12万6561台(同2位)、2019年にも10万3803台(同4位)と売れ続けている。
普通であれば、人気のあるうちにモデルチェンジをして、更に販売を加速させるところであるが、トヨタはそれをしていない。
その理由は、近い将来縮小する日本市場を考慮した戦略の一環だと考えられる。トヨタは2020年5月より全国全店全車販売実施を行う。アルファードとヴェルファイアも車種統合される見込みだという。
アクアもヤリスとの競合が危惧され、それが新型の登場を遅らせている理由だと考えられる。ただ、ベストカーWebの取材によれば、新型アクアは現在開発中であるという。
新型アクアは、ヤリスとの棲み分けを充分考慮したうえで、新たなキャラクターで勝負することになりそうだ。
86&BRZ/2012年発売
86/BRZもすでに8年目に突入している車種だ。縦置き2L・NAの水平対向4気筒エンジンを搭載、もちろん駆動方式はFR、重心の低さも大きな魅力である。
絶対的な「速さ」はないが、ドライバーが自らの力量の中でスポーツ走行することで、どこか懐かしく、楽しさを得られるクルマとして人気だ。
モデルチェンジをしない理由は「トヨタとスバルの自信の表れ」だと、筆者は考えている。
スポーツカーは、背が低くてスポーティなデザインや大きなタイヤ、リアウィングなど、見た目ももちろん重要であるが、その本質は、「走り」にある。
86/BRZに搭載されている素性が良いアーキテクチャを、「目指す走り」に向けて磨き続ければ、モデルチェンジを急ぐ必要はない、とうことなのかもしれない。
(編注:トヨタとスバルが発表した2019年9月27日付けのリリースでは、「86/BRZの次期モデル共同開発」が明言されている)
実際、毎年のように改良がされており、常にメーカーの愛情が込められている、クルマなのだ。
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