もしかして超人気車を3年くらい乗り継いでいくのが一番コスパいいのか?【検証アルファード】

もしかして超人気車を3年くらい乗り継いでいくのが一番コスパいいのか?【検証アルファード】

 一般的には、クルマは新車購入時がもっとも価値が高く、走行距離が増えたり年数が経過していくにつれ、価値が下がっていくものですが、なかには、2〜3年乗ってもあまり値落ちしないクルマもあります。

 もちろん一部の超人気車に限られますが、新車購入時とあまり変わらない価格で売却(下取り)できるとしたら、購入から売却までの間、そのクルマを使用していたことに対する(車両本体にかかる)コストが、かなり低く抑えられることになり、かなりお得。もしかして、長年大切に1台のクルマを乗り続けるよりも、超人気車を3年くらい乗り継いでいくほうが、コスパがいいのでしょうか。値が落ちにくいクルマの代表格である、トヨタ「アルファード」で検証してみました。

文:吉川賢一/写真:TOYOTA、HONDA

【画像ギャラリー】もしかして超人気車は3年くらいで乗り換えていったほうがお得!?? 超人気車の代表格 トヨタ「アルファード」(14枚)画像ギャラリー

アルファードは3年落ちで60~80%の残価率

 走行距離や車両のコンディション、ボディカラー、オプション装備など、中古車の買い取り価格に影響を与える要素はさまざまありますが、クルマのリセールバリューを大きく左右するのは「残価率」です。

 残価率とは、新車購入時の価格に対して、売却時にどの程度の価格がつくかを示す割合のこと。一般的には、年数を経るごとにこの割合は下がっていきます。

 通常、残価率は買い取り業者の利益に関わるため公開されていないことが多いのですが、一部にはあえて情報を公開している会社もあります。現行アルファードは2023年6月の登場とまだ2年目のモデルであるため、3年目以降については情報がありませんが、残価率は、先代モデルの傾向などを考慮して算出されるものなので、公開されている2年目までの残価率と、先代アルファードでの傾向などをもとに、現行アルファード1年目から5年目までの残価率の現時点での予測値をAIに算出してもらいました。

●現行アルファードの予測残価率(参考値、筆者が本稿執筆のために参考に算出したものであり、売却価格を保証するものではありません)
1年目:110~135%
2年目:86~93%
3年目:82~90.6%
4年目:78~87.7%
5年目:73~86.1%

 注目すべきは、3年目の残価率が80%を超えているという点です。一般的なクルマでは、1年落ちでおおよそ80~100%、3年落ちで60~80%、5年落ちでは40~65%程度が相場とされており、アルファードは下限の82%だったとしても平均値を超えている状況です。

2025年は月平均7500台という登録台数となっているアルファード。500万円を優に超える高額車でありながら高い人気を誇っている
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最人気グレードはガソリン2WD「Z」グレードで、車両価格は税込555万円。2024年12月には、ハイブリッドの8人乗りの「X」グレードが登場、車両価格は510万円と廉価なモデルだ
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アルファードの場合「3年で売却」と「30年乗り続ける」で同等のコスパに

 アルファードのように、数年後乗った後の売却価格が高く、購入価格との差が小さくなればなるほど、車両本体にかかるお金が少なくなるため、コスパがいいといえます。ここではこの差を「実質コスト」として、シミュレーションしていきましょう。

 試算に用いるのは、現行アルファードの人気グレードである2.5Lガソリン・2WD「Z」グレード。車両本体価格は税込555万円です(メーカーオプション等の追加費用はいったん省略します)。この車両を一括で購入し、2025年6月に納車、3年後の2028年5月に売却すると仮定した場合、先ほどの残価率データから売却価格は約455〜502万円になると見込まれます。つまり、3年間で車両本体にかかった実質コストは約53〜100万円、年間換算で約18〜33万円程度という計算に。

 年間18万円のコストで555万円のクルマに乗るには、30年近く同じクルマに乗り続ける必要があり、あくまでもコスパの面だけではありますが、アルファードは「1台のクルマを長く乗ったほうがコスパがいい」というわけではないことがわかります。

 ほかのクルマと比べてみても、一般的な600万円クラスの乗用車における3年間の実質コストは、おおよそ120〜240万円(年間40〜80万円)といわれているため、アルファードは計算上その半分のコストで乗ることが可能。

 5年目であっても、売却価格は約405〜478万円で実質コストは約77〜150万円、年間計算だと約15.4〜30万円と、3年目で売却する場合よりもわずかに年間負担が下がりますが、先になるほど残価率の予測も大きく変動するでしょうし、数年ごとに行われる一部改良や大小のマイナーチェンジによる影響も考慮しなければならなくなります。

 このくらいの差であれば、3年ごと乗り換えたほうが、メリットをより高い確率で享受できますし、常に最新スペックのクルマに乗れるという楽しみもあるでしょう。やはりアルファードのように残価率の高い超人気車を3年で乗り換えることは、コスパの面ではかなりお得な方法といえます。

現行アルファードExecutive Loungeの内装(ニュートラルベージュ)。2列目には豪華なキャプテンシートが備わる最上級のミニバンだ
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