「今でも人気が衰えないシリーズ最大のヒット作」 5代目

シルビア史上最大のヒットを生み出したのが、1988年に登場した5代目だ。
「アートフォース・シルビア」のキャッチコピーとともにデビューした5代目は瞬く間に人気モデルの仲間入りを果たしたが、その大きな要因はやはりスタイリッシュなルックス。
「エレガントストリームライン」と名付けられたボディラインを用いたスタイリングは流麗かつ美しく、その見た目から女性ファンが急増。デートカーとしても高く評価されたのだ。
その一方、FRで手頃なサイズ、そしてターボエンジン搭載ということから走り好きの若者を中心に人気を獲得したのである。
走りの骨格となる足回りはフロントこそ従来と同じストラットだが、リアには新開発のマルチリンクを採用。4輪操舵システムのハイキャスIIもオプションで用意された。
心臓部に迎えたのは1.8リッター直4のCA18系で、ターボと自然吸気の2種を用意。こうしたコンポーネントにより、FRターボらしい振り回して楽しめるクルマとして一躍人気になったのだ。
そんな5代目も、1991年にマイナーチェンジを実施。
エクステリアはグリルやヘッドライト、エアロパーツなどの小変更にとどめ、インテリアではシートのデザインを一新。メカニズムはさらに進化し、2リッター直4のSR20系を搭載。ハイキャスIIもスーパーハイキャスに変更された。
スポーツクーペとデートカーという両面で人気を獲得した5代目は、今でも高い人気をキープ。日本車の歴史に名を刻むほどのヒット作となった。
「肥大化で失敗し、復権を目指してサイズダウン」 6代目、7代目
大ヒットとなった5代目の後を受け、1993年に6代目がデビュー。先代の勢いそのままに……と思いきや、真逆の展開となった。
6代目最大のトピックは、3ナンバー専用ボディになったこと。丸みを帯びたスタイリングは流麗で美しく、大人のクーペといった印象。しかし、スポーティというイメージからはかけ離れてしまい、評価が大きく分かれた。また、それまでのコンパクトなボディサイズや機敏さを良しとするユーザーからは背を向けられ、人気を落としてしまったのだ。
とはいえ、キャリーオーバーされたシャシーは熟成の域に達し、ブレーキも容量アップ。搭載されるエンジンも、ターボのSR20DETは15psもパワーアップした。
このように、大きく重くなったことを払拭するだけの要件は備えていたが、見た目の大人しさとともに、3ナンバー化は完全に裏目に出てしまったのである。
そこでメーカーは、1996年のマイナーチェンジでエクステリアを一新。切れ長のヘッドライトを用いたシャープなマスクとし、リアコンビランプもスポーティなデザインに変更。この効果もあり人気は多少上向いたが5代目には到底及ばず、次の世代へバトンタッチした。
1998年にモデルチェンジした7代目では、以前の評価を取り戻すべく、大きな軌道修正が行われた。それがダウンサイジングだ。
再び5ナンバーサイズとなったボディはスピード感あふれる彫刻的なフォルムで、6代目のそれとはまったく違うイメージ。派手なエアロパーツ装着グレードも設定された。
メカニズムもブラッシュアップされ、エンジンはSR20系がキャリーオーバーされたものの、ターボ、自然吸気ともに最高出力は向上。ターボに新開発の6MTが組み合わされこともトピックだ。
こうして走りのイメージを取り戻し、機敏な走りが復活した7代目だったが、2002年8月に生産終了。1965年から始まったシルビアの歴史に幕が下ろされたのである。
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