毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回はトヨタ カリーナED(1985-1998)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:TOYOTA
■2ドアクーペの持つ優雅さ、4ドアモデルの実用性を兼ね備えた4ドアハードトップ
セダン(4ドアハードトップ)としての居住性にはやや難があるものの、それをカバーするほど魅力的なワイド&ローのフォルムを大胆に採用したことでヒット作に。
そして他社もそのコンセプトに追従し、「背が低い4ドアセダン(ハードトップ)」という一大人気ジャンルが創出された。だがいつしか時代の嗜好と合致しなくなり、ジャンルそのものが消滅。
……そんな一連の流れの発端となったのが、1985年に登場した初代トヨタ カリーナEDです。
初代カリーナEDは、4代目トヨタ セリカ(T160型)のプラットフォームを流用して作られた4ドアハードトップ。
ピラーレスの4枚ドアを擁するそのボディは全高1310mmと、4ドア車としては異例に背が低いものでした。
そしてシンプルでありながら端正な印象が強いフロントマスクやリアビューなどとあわせ、「それまでありそうでなかった独特の個性とおしゃれ感」を醸し出していた車でした。
初期型の搭載エンジンは最高出力165psの2L直4DOHC「3S-GELU」と、出力が異なる2種類の1.8L SOHCユニット。
そこに組み合わせられたトランスミッションは5MTと4速ATで、サスペンションは新設計のマクファーソンストラットとデュアルリンクストラットが、それぞれ前後輪に適用されました。
お硬い自動車評論家からは主に居住性について酷評された初代カリーナEDでしたが、そんなことはお構いなしにEDはよく売れました。
そしてマイナーチェンジと一部改良を重ねながら1989年まで販売。同年9月にはベース車であるセリカのフルモデルチェンジに伴い、カリーナEDも2代目へと生まれ変わりました。
2代目のEDも「背が低くスタイリッシュな4ドアハードトップ」という路線は完全に継承。
そしてこちら2代目もかなりスタイリッシュな一台に仕上がったからでしょうか、初代ほどではないにせよ、まずまずの数が売れました。
しかし1993年、これまたセリカのフルモデルチェンジに伴って3代目へと移行したカリーナEDは、3ナンバーサイズになったことがいけなかったのか、それともボディ剛性確保のためセンターピラーを設けたことで、独自の個性が薄れてしまったからなのか、はたまた単に時代が変わったせいなのか、結論としてさほどのヒット作にはなりませんでした。
そのため3代目カリーナEDは1998年4月に生産終了。「4代目」は登場しないまま、カリーナEDそのものが廃番となりました。
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