もう一度、輝け! 日産キックスと「日本に寄り添うSUV」への期待 日本の声を聞けば日産はもっと強くなる!!

もう一度、輝け! 日産キックスと「日本に寄り添うSUV」への期待 日本の声を聞けば日産はもっと強くなる!!

 国内市場において、人気カテゴリの筆頭格であるコンパクトSUV。トヨタの「ライズ」は、乗用車の販売台数ランキングでトップに僅差で迫る2位にランクイン(2025年5月および6月)するほど好調な売り上げを記録しており、トヨタの「ヤリスクロス」やホンダ「ヴェゼル」も、常に月間5000台を超えるペースで売れるなど、高い販売実績を維持している。

 その一方で、同じくコンパクトSUVである日産の「キックス」は、月販1000台前後。直近3ヵ月では1000台を下回る月もある。そのせいか、納期は約1か月と、昨今のクルマとしては超短納期。注文すればすぐにタイ工場から届くはずなのに、この状況だ。

 ただ、日産が本気でコンパクトSUVをつくれば、ヤリスクロスやヴェゼルと対等に戦えるモデルは実現可能なはず。日産「キックス」の今後について考えてみよう。

文:吉川賢一/写真:NISSAN

【画像ギャラリー】月販1000台未満…日産キックスが「選ばれない理由」と、これから必要なこと(16枚)画像ギャラリー

動力性能はピカイチ ただ内外装は時代遅れで価格も高く、商品力としては弱かった

 日産「キックス」は、2019年に生産終了となった初代「ジューク」の実質的な後継車として、2020年6月に登場したモデルだ。ベースとなっているのは2016年にブラジルで発売されたガソリン車の初代「キックス(KICKS)」。1.2リッター3気筒エンジン発電+高出力モーターのe-POWER専用車へと改良し、日本に導入された。

 最大トルク260Nmというモーターの力強い加速や、シャープなステアリング特性など、その走りが評価され、デビュー当時は月販5000台を超えるなど、十分な存在感を示していたキックスだが、内外装ともにベースのデザインの古さは否めず、また、廉価なガソリンモデルの設定がなかったことやタイで製造して日本へ輸入する方法が採られたことで、ライバルと比べて割高であったこと、また当初は4WDの設定がなかった(2022年7月に追加となった)ことなどによって販売は徐々に低迷。人気ジャンルのモデルであるにもかかわらず、ついには月販1000台を下回るほどになってしまった。

2024年5月に仕様向上が図られた日産キックス。インテリジェントアラウンドビューモニター(移動物検知機能付)」が全車標準装備となった
2024年5月に仕様向上が図られた日産キックス。インテリジェントアラウンドビューモニター(移動物検知機能付)」が全車標準装備となった
カラーリングの工夫で明るい雰囲気を出しているが、ノートオーラやエクストレイル、サクラ、アリアなどの現行車と比べると、世代の古さが感じられてしまう
カラーリングの工夫で明るい雰囲気を出しているが、ノートオーラやエクストレイル、サクラ、アリアなどの現行車と比べると、世代の古さが感じられてしまう

北米では新型キックスが登場 ただ日本向けには小型化してほしい!!

 そんなキックスだが、海外(北米)では、すでに新世代のキックスが販売開始となっている。内外装ともに質感は大きく向上し、12.3インチのフル液晶メーターに、12.3インチのディスプレイオーディオを組み合わせ、1枚の大きな液晶ディスプレイのようにみせた先進的なインパネは、「ノートオーラ」に匹敵する高評価を得ている。

 現時点でのパワートレインは、最高出力141ps、最大トルク190Nmの2.0L直4エンジンのみだが、今後は高速燃費が第2世代e-POWER比で15%改善するという、第3世代e-POWERを搭載したモデルも投入されることだろう。

 日本にも、もうまもなく投入されるようで、日産のエスピノーサ社長は、2025年7月15日に開いた記者会見で、この新型キックスについて、2027年度末をもって車両生産を終了する追浜工場で立ち上げたのち、日産自動車九州へ移管する旨を明かしている。

 しかしながら、新型キックスのボディサイズは、全長4366mm(+67)×全幅1800mm(+40)×全高1630mm(+25)、ホイールベースも2657mm(+37)と、ひと回り大きくなっている(カッコ内は従来型比)。

 コンパクトSUVは小型であること自体に価値があるはずであり、特に日本市場では適正なサイズであることが必要。もちろん北米の新型キックスもそれはそれで魅力的なのだが、日本でより需要が高いのは、もう少しコンパクトなサイズだ。そのため筆者は、日本版新型キックスでは、この北米の新型キックスをギュッと凝縮し、日本市場にジャストサイズ化させたボディサイズにして、登場させてくれないかと考えている。

 北米キックスを生産する製造ラインとは違うのだから、不可能なことではないはず。もちろん手間もコストも膨大にかかってしまうことだが、そうして生まれた日本版キックスは、国内で日産を再び輝かせてくれるきっかけとなるに違いないと思うのだ。

エクステリアデザインを大きく変えてきた北米向け新型キックス。フロントバンパーのデザインが特徴的だ
エクステリアデザインを大きく変えてきた北米向け新型キックス。フロントバンパーのデザインが特徴的だ
ノートオーラにそっくりな内装だが、ノートオーラとは異なる形状のシフトレバーが備わる
ノートオーラにそっくりな内装だが、ノートオーラとは異なる形状のシフトレバーが備わる

次ページは : 日本のための新型キックスとなって登場することを期待!!

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