2025年も半分が過ぎた。この半年の間に、自動車業界では大きなニュースがいくつも駆け巡ったが、2025年初めに報じられた、日産・ホンダの統合破談はその最たる例だ。あの時、何が起きていたのか? そして両社のこれからは!?
※本稿は2025年6月のものです
文:井元康一郎/写真:日産、ホンダ
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
協議開始からわずか2カ月……統合は一転破談に
日産とホンダは2025年2月13日、経営統合に向けた協議を撤回。その要因とは?
2024年12月、経営統合に向けての協議を開始したホンダと日産自動車だったが、明けて2025年2月には協議の打ち切りを発表。日本の自動車業界史上最大の合併劇はあえなく幻に終わった。
この経営統合はホンダ、日産の双方に大きなメリットをもたらすはずだった。
例えば電動化や自動運転など次世代車作りに欠かせない基盤技術の共有化。クルマの個性に直接影響しないものは共通化してもネガは生じず、両社の開発力を合わせたほうが純粋にいいものを作ることができ、世界シェアも高められる。
そのほか生産能力の相互融通、部品や素材の共同購買など、プラス効果は枚挙にいとまがない。
そんな経営統合へのトライが破談に終わったのは、とどのつまり両社間に相互信頼がなかったからだ。日産が絶対に呑まないとわかりきっている100%子会社案を切り出したのは、日産の経営改革の実行力をホンダはハナから信用していなかったことの証としか言いようがない。
そのホンダの業績も四輪に関しては悪化の一途を辿っており、赤字すれすれという状況に追い込まれている。日産としてもそんなホンダに支配されるくらいなら、リストラを断行して自力で再建したほうが話が早いと考えるのも無理はない。
企業同士が包括提携や経営統合をいい形で果たすには、自社の短所を自覚し、相手の長所を認め合うことが必要。それを欠いていては救済合併でもない限り上手くいかないという当たり前のことを、ホンダ、日産の経営統合騒動は世界に示してしまった格好だ。
破談になった今、両社にできることはこの件に関して遺恨を残さないこと。さもなければ、現在行っている技術提携すら危うくなる。

















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