中国マーケットで大きく販売を落としている日産。それを挽回すべく上海ショーで公開したのが、中国をターゲットとしたDセグメントBEVセダンのN7。すでに順調に売れているという注目の一台を、試乗でじっくりと見ていこう!!
※本稿は2025年6月のものです
文:加藤ヒロト(中国車研究家)/写真:加藤ヒロト、日産
初出:『ベストカー』2025年7月26日号
中国のトレンドを押さえつつ日産らしさを注入
2025年4月末の発売以来、すでに1万8000台近く受注している日産の純電動セダン「N7」。中国事業回復の重責を担うモデルだが、使いやすくて先進性もあるパッケージングを11.99万元(約240万5000円)という価格で実現したことでその注目度は高い。
パワートレーンは下位グレードでバッテリー容量58kWh・モーター出力214hp、上位グレードで73kWh・268hpを誇る。今回は268hpのモデルに試乗したが、前輪駆動のシングルモーターながらも31.1kgmの高トルクのおかげで加速は素晴らしい。
また、航続距離(CLTC方式)はそれぞれ510〜540kmと625〜635kmで、実世界での数値はこの7掛け前後となるだろう。急速充電は約14分で30〜80%を充電できるので、普段使いからちょっとした遠出まで楽にこなす。
中国の新興メーカーは乗り心地の味付けが未熟なところが多いが、そこはさすが日産、日本車基準で考えると少し硬めなものの、亀裂や凹凸から来る突き上げは上手に処理する。コンフォート寄りなので街中での運転もしやすく、ハンドリングの応答性も申し分ない。
内装でも手を抜かず、的確かに中国の消費者が求める「先進性」を基軸に上質な空間を演出している。
青竹色の内装や15.6インチのセンターディスプレイ、そして冷蔵・保温機能付きのコンソールボックスなどが特徴的だ。エアコンの風向きや風量を瞬時に指で操作したい筆者にとっては、送風口の調整が手動なのも高評価ポイントである。
外装はミニマリスティックな雰囲気を醸し出し、前後の灯火類が左右一体型なのも中国のトレンドを取り入れた結果。また、デイライト下にはアニメーションや絵、文字等を表示できるLEDディスプレイも備える。
中国市場ではクルマを本質的な性能よりも、エンタメ機能やNVH(振動や騒音)性能で評価しがちだ。乗った印象ではN7の静粛性は問題なく、とても快適な空間を味わえた。
一方でエンタメ機能においては各種ストリーミングサービスやカラオケ機能など基本的な部分は押さえているものの、もう少し踏み込んだ何かが欲しい。価格を考えれば充分に妥当なラインなのだろうが、いかに消費者を惹きつける「突飛な機能」をアピールするかも重要である。
N7は全長4930×全幅1895×全高1484〜1487mm、ホイールベースが2915mmを誇るDセグセダンであり、長安汽車「ネヴォA07」や、リープモーター「C01」、ジーリー「ギャラクシーE8」、BYD「漢L」あたりが同じEVのライバルとして浮上してくる。
これらと比べるとN7が一番新しく、また日本車という信頼できる要素も持っているのが大きなアドバンテージだ。
運転支援機能も中国の自動運転ベンチャー「momenta」が開発したレベル2+の高度なものを搭載しているため、これも大きな武器となる。
一方で先述のとおりエンタメ機能はもっと頑張れるところがあると思うし、細かい話をすれば、後席用充電ポート(USB Type-C)がひとつしかないのもかなり致命的だ。せっかく内外装、走りともに素晴らしいので、今後も市場からの反応を吸い上げ、中国勢に負けないスピード感で改善を行ってほしいと感じた。























コメント
コメントの使い方日本に入ってこない車凄いと言われても
まあ持ってきた所で売れない物は売れない
こんな記事で日産持ち上げても評判は変わらないと思いますよ