イタリア人メカニックが作ったフィアット パンダがSNSで大バズリし、世界中で大きな話題になった。なぜそこまで大きな話題になったのか…それは写真をみれば一目瞭然である。
文:古賀貴司(自動車王国) 写真:ベストカー編集部
【画像ギャラリー】あら、意外と運転席ちゃんとしてる!! 全幅50cm極細パンダの全貌がコレ(3枚)画像ギャラリー自動車史に残る名車フィアット パンダ
初代フィアット・パンダは1980年に誕生し、24年間という驚異的なロングセラーを記録した。
デザインを手掛けたのは、かのジョルジェット・ジウジアーロだ。
製造コストを徹底的に削減するため、すべての窓に板ガラスを採用し、直線基調のボディが独特の個性を生み出した。
インテリアも簡素ながら機能的にまとまっており、それでいてオシャレ。
イタリアンデザインの妙味を感じさせるものだった。
絶版になってからから時間が経過した昨今、初代パンダの真価が見直されているのか中古車市場では価格が上昇し、その存在感は増すばかりだ。
そんなパンダを使って「遊んだ」イタリア人メカニックが、アンドレア・マラッツィ氏だ。
しっかりと走れる車幅1/3のパンダ

彼が生み出したのは、全幅わずか50cmという世界最狭のパンダである。これはオリジナルの約3分の1という驚異的な数値。
イタリアの田舎町バーニョロ・クレマスコで家族経営のジャンクヤード兼整備工場を営むマラッツィ氏。
1993年式パンダへのオマージュとして、1年以上かけてこの傑作を完成させた。
横から見ればほぼオリジナル部品(ドア、ライト、ルーフ、ホイール)だが、正面から見ると縦方向に分割されたボディが笑いを誘う。
まるで漫画の一コマが現実になったかのような外観で、パンダが実用的なハッチバックから芸術作品へと昇華した雰囲気だ。
パワーユニットは電動スクーターから借用した小型電動モーターを搭載。
24Vバッテリーとの組み合わせで最高速度約15km/h、航続距離約25kmという控えめな性能を実現した。
公道登録こそされていないが、前進・後退、ブレーキ、旋回、そして作動するヘッドライトとウインカーと一応、自動車として最低限の機能を備えている。
当初は展示用として製作されたが、最近イタリアのパンディーノで開催されたパンダ愛好家の集まりで走りを披露した。
数千台のパンダに囲まれる中、この1人乗り車両は瞬時に注目の的となったという。
イベントの動画や画像はインターネットで瞬く間に拡散し、その奇想天外な比率と可動性に世界中の視聴者が魅了された。
クルマを楽しむ方法に制限は存在しない!?
マラッツィ氏は現在、「世界最狭実働車」としてギネス世界記録に申請手続きを進めている。
SNSを通じてバズった動画が、無名の職人を世界的な話題の中心に押し上げつつある。ひょんなことで世界的有名人になる今の時代は…、実に面白い。
もしかしたら、「現代アート」としての需要もあるかもれない。
実際、マラッツィ氏の最狭パンダは、自動車業界のみならずエンターテインメント分野でも注目を集めているそうだ。
フィアット・パンダという名車への敬意と、既成概念にとらわれない自由な発想が生み出した世界最狭パンダ。
その奇想天外な姿は、見る者に笑顔をもたらし、創造することの楽しさを伝えてくれる。
これこそが、真の自動車文化の醍醐味なのかもしれない。
【画像ギャラリー】あら、意外と運転席ちゃんとしてる!! 全幅50cm極細パンダの全貌がコレ(3枚)画像ギャラリー





コメント
コメントの使い方アイデアで終わらず、実現まで持っていくことの重要性ですね。
現代アートとしても非常に価値がある作品だと思います。
旧車らしい極薄パネルを活かしてるとはいえ、ステアシステム作成の苦労は想像以上だったはず。