日産 アベニールは「速さ」ではない魅力で勝負! ステーションワゴン戦国時代にあったもう一つの選択肢!

日産 アベニールは「速さ」ではない魅力で勝負! ステーションワゴン戦国時代にあったもう一つの選択肢!

 レガシィツーリングワゴンの登場は、1990年代に各メーカーから多種多様なステーションワゴンを誕生させるきっかけともなった。カルディナ、アコードワゴン、オルティア、ステージア、レグナム、リベロ……などなど。挙げればキリがない。その中でも、当初は速さではなく実用性重視だった日産 アベニールを今回はピックアップする。

文:小鮒 康一/画像:日産

【画像ギャラリー】逆に考えるんだ280psなくてもいいってさ! リゾートエクスプレスも魅力だったじゃない! レガシィの陰に隠れた実力派ワゴン日産 アベニール!(32枚)画像ギャラリー

速さよりも豊かな生活を目標としたアベニール

1990年に登場したアベニール。欧州ではプリメーラワゴンの名だった
1990年に登場したアベニール。欧州ではプリメーラワゴンの名だった

 1989年に登場した初代レガシィツーリングワゴンは、それまでライトバンの延長線上にあったステーションワゴンに「速さ」というスパイスをプラスすることで一躍人気車種となったのはご存知の通り。

 そしてその人気ぶりは当然ながら他メーカーにも波及し、さまざまなステーションワゴンモデルが登場することとなるのだが、日産が1990年5月に投入したアベニールも一定の支持を集めたモデルとなっていたのだ。

 それまでもブルーバードやスカイライン、セドリック/グロリアなど、ステーションワゴンモデルを多くラインナップしていた日産だったが、どれもベース車があっての派生モデルだった。一方、アベニールは専用のワゴンボディをもって登場しており、日産の気合いの入れっぷりを感じさせるモデルとなっていた。

 そんなアベニールは、「豊かな生活(ライフスタイル)」を提供するために、ゆとりと使いやすさをテーマに、機能・性能・安全性などを高次元で両立させるモデルとして開発され、ワゴンらしい広い荷室を実現しながらも、Cd値0.34(エアロパーツ装着車)とステーションワゴンとしてはトップクラスの空力性能も兼ね備えていた。

やっぱり競争から降りることはできず……

1998年に2代目へフルモデルチェンジ。230psをたたき出すSR20DETが搭載された
1998年に2代目へフルモデルチェンジ。230psをたたき出すSR20DETが搭載された

 ただ、レガシィツーリングワゴンに設定されていた4WDターボのようなホットな仕様は当初は存在せず、あくまでユーザーのライフスタイルを充実させる方向のモデルとなっていた。

 1991年2月にオーテックジャパン(当時)が手掛けるモデルとして登場した「リゾートエクスプレス」は、4WDモデルをベースに撥水インテリアやオーバーライダー、大型フォグランプなどを備えた仕様で、ある意味ワゴンのクロスオーバーモデルのはしりとも言える存在となっていたのだ。

 しかし、やはりレガシィツーリングワゴンのターボモデルが持つ高い人気は無視できなかったようで、1995年8月に実施されたマイナーチェンジのタイミングで、SR20DET型ターボエンジンと4WDを組み合わせた「GTターボ」を追加設定。

 1998年8月に2代目へフルモデルチェンジを果たした際には、当初から「GT4」と名付けられたターボ4WDモデルを設定してレガシィツーリングワゴンに追従していたのだが、一足先に2Lターボで280psという自主規制値に達成したレガシィに対し、アベニールは2代目モデルでも230ps止まり。

 かつ5速MTも初代から設定されなかったことでコアなファンを獲得するには至らず、2005年秋に終売となってしまった。

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