ホンダ苦戦の根本的要因は?
それが上手くいかなかったのはなぜか。要因はさまざまだが、関係者への取材で浮き彫りになるのはホンダの経営力不足だ。
理念を語ることや抽象的な課題の認識力に関しては充分なものを持ち合わせているが、立てた夢をプランに変え、実現させていくうえで欠かせない人材育成、組織のマネジメントとなるとからっきしなのだ。ホンダのある幹部社員は語る。
「三部さんが社長になってから1年くらいは社内で新規事業に関する号令が飛び交っていました。これからは情報通信、エネルギーからサービス業まで多様な企業との連携を図っていくのだから、新しい分野とクロスオーバーしても大丈夫な研究開発、品質管理、営業、財務のあり方を考えろ、と。
ですが、何をやるかというビジョンが明確に示されることはありませんでしたし、次世代ビジネスのアイデアがボトムアップで上に取り上げられることもありませんでした。三部さんが就任してから2年目の途中からでしょうか、新規事業の話はぱったりと聞かなくなりましたね」
つまり上層部は明瞭なプランを示さないままに新ビジネスを上手く行かせる仕組みを作れと命じ、新ビジネスのタネとなるアイデアを拾い上げる意思もほとんどなかったというのだ。
「特にフィールドワークから生まれるアイデアのシーズ(種)については軽視されていました。
業績をよく見せるために社内で3カ月ごとに無駄遣いチェックが行われるくらいなのに、若年層の社員が新ビジネスのアイデアを出しても、そんな予算がどこにある、無駄遣いするなと言われるか、無言のプレッシャーで潰される。そういう事例は枚挙にいとまがありません」(ホンダの技術系幹部)
企業が創造性を持つことは「言うは易し行うは難し」の典型で、そうそうできることではない。一人の画期的アイデアが世の中を変えることも稀にはあるが、異なる知見を持つ人材が持つそれぞれの発想が融合して大きな可能性を有するアイデアに昇華していくことのほうが圧倒的に多い。
そのために必要なのはまず人材の多様性を高めること、その異質な人材同士がコミュニケーションを取りやすい環境づくり、そしてそこで生まれたアイデアの価値を派閥抜きに見抜いて育てる上層部の見る目と柔軟性だ。
「ウチは有り体に言ってその3つともない。よい着想があったとしても、それが取り上げられるかどうかは有望性ではなく上司の気に入るかどうかで決まりますから。
対外的には“ワイガヤ文化”をアピールしていますが、実際には上意下達と忖度が支配する体育会系。ベンチャー企業みたいな活気を持ちたいのであれば、そこをまず変えなければ話にならないと思います」(前出の技術系幹部)
三部社長以下、経営幹部も利益を出せているだけで本当の意味での経営は上手くいっていないという自覚は持っていることだろう。

コメント
コメントの使い方熟考せずに流行りに乗るからや。その点トヨタはすげーなと思う。
ホンダが復活するのに必要なのは、純内燃機関車です。
化石燃料止める宣言でホンダ車止めた人です
ふざけんなよ!