2001年に本格運用が始まって以来、高速道路を快適に走るために欠かせない存在となっているETC(自動料金収受システム)。国土交通省によると、2025年5月時点のETC利用率は95.3%。特に首都高速では98%以上もの利用率となっており、高速道路を利用する人ほぼすべてが利用している状況です。
そんなETCにいま、「2022年問題」と「2030年問題」と呼ばれるふたつの大きな課題が浮上しています。簡単にいえば、「いまお使いのETC車載器が使えなくなるかもしれない」という問題です。
文:yuko/アイキャッチ画像:Adobe Stock_ Kumi/写真:Adobe Stock、写真AC、国土交通省
【画像ギャラリー】ある日突然ETCが使えなくなる! 2022年&2030年問題って何 自分の車載器をすぐ確認!!!(6枚)画像ギャラリーいつ使えなくなってもおかしくない「2022年問題」
有料道路の料金所に設置されたアンテナと無線で通信を行うことで、クルマを停止させることなく通行料金を支払うETC(Electronic Toll Collection System)。冒頭でも触れたように、2025年5月時点のETC利用率は95.3%と、高速道路を利用するほぼすべての人が利用している、もはやなくてはならない装備です。
そんなETCが突如使えなくなる可能性があるふたつの大きな課題が「2022年問題」と「2030年問題」。「ETCが使えない」というと、ETCカードに不具合がある場合を想像しますが、この2022年問題と2030年問題の対象は、カードではなく車載器の問題です。
まず「2022年問題」とは、2005年に改正された電波法関連法令によって、スプリアス(不要な電波)発射の許容値が改正されたことによるもので、旧スプリアス規格に基づいて製造されたETC車載器は2022年に使えなくなる(予定だった)、というもの。2007年からこの改正に基づく新スプリアス規格が適用されていますが、旧スプリアス規格の無線設備も2022年11月30日まで使用ができるという「猶予」が設けられていたのです。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症による社会経済への影響等を考慮し、総務省は旧スプリアス規格の使用期限を他の無線局の運用に妨害を与えない場合に限り「2022年11月30日」から「当分の間」へと改正することを発表。ただ「新スプリアス規格への移行については引き続き促進していく」としており、新型コロナウイルス感染症による影響も落ち着きをみせているいまは、この「当分の間」が終了しても不思議ではない状況にあります。
この「当分の間」とされている期限が終了しても、通信ができなくなるわけではないと思われますが、電波法で定められた規格に対応していない無線機器を運用することは電波法に違反する行為であり、処罰の対象となります。旧スプリアス規格のものはいつ使えなくなってもおかしくない状況なのです。

より多くの車載器が該当する「2030年問題」
ただ、2022年問題に関しては、2005年に電波法関連法案が改正されていますし、2007年からは全面適用となっていますので、現在使用されている車載器において該当するものは、それほど多くはないでしょう。
一方で、2030年問題のほうはより多くの機種が対象となります。「2030年問題」は、セキュリティの規格が変更となることで、旧セキュリティ規格のETC車載器では、ETCゲートを通過できなくなるというもの。国土交通省や高速道路各社が2017年に発表したもので、昨今の情報機器の能力向上に伴うセキュリティ脅威の増大への備えとしてセキュリティ機能を向上させるため、最長で2030年頃までに、セキュリティ規格を変更するとしています。
ただ「セキュリティに問題が発生した場合は、変更時期が早まる可能性がある」ともされており、こちらもいつ使えなくなるかわからない状況です。







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