50代のおじさんが若かった頃、上級モデルは買えないけれど、姿を似せて販売した「もどきカー」(勝手に命名)があった。どう頑張っても元になった兄貴分のクルマは高くて庶民には買えないため、藁をもつかむ気持ちで日産ファンは嬉しかったに違いない。でも、これがどうして、なかなかカッコよかった! さっそく、ラングレーとローレルスピリットを紹介したい。
文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部
スカイラインズ・ミニの初代ラングレー:ヘッドライトはまんまジャパン
50代以上のおじさんなら「懐かしい」と思わずにはいられない「もどきカー」。もどきといえば、トノサマバッタモドキやカマキリモドキなど昆虫に多いが、本家と非常によく似ていてやや小さいのが特徴。そこで、今回取り挙げるクルマを「もどきカー」として勝手に名付けたのだが、ご理解いただきたい。
ラングレーの新車が発売していた当時は、注目を集めることはあまりなく、当然、クルマ雑誌でさえ取り上げることもなかった存在感のないクルマだった。
ラングレーは3代続いたが、もどきカーは1980年6月に登場した初代。日産はラングレーを「スカイラインズ・ミニ」と謳っていたが、「プアマンズ・スカイライン」のほうがしっくりするかもしれない。
日産はパルサーをベースに、ハッチバックながらスカイライン風のボディデザイン、そしてヘッドライトはなんとC210型スカイライン後期型のものを使った初代ラングレーをデビューさせた。
実際は当時主力のスカイラインを販売していたプリンス店の営業的リクエストに応えて登場させた。筆者は当時、少年だったが、ラングレーに友達の親が乗っていたのを思い出した。当時、スカイラインは当時の親父世代にとっては憧れの存在だったが、サラリーマンにとっては高嶺の花。
友達の住む団地の駐車場に停めてある赤いラングレーを見に行ったら、ハッチバックだったけど、遠目からでも「スカG」に見えたのを覚えている。ヘッドライトは後期型ジャパンのヘッドライトそのものだったから、そりゃそうだ。
CMキャッチコピーも愛のスカイラインならぬ「愛のラングレー」。ちなみに2代目ラングレーはケンとメリーのスカイラインに似せた「ポールとポーラのラングレー」。思わずいい加減にしろと突っ込みたくなるCMキャッチコピーだった。
一軒家に住んでいる友達の父親がスカイラインジャパンを買った。誇らしげな友達に連れられて見に行くとGTではなく、ノンターボのES。心のなかで「な~んだ、ラングレーのほうがいいじゃん」と呟いたのを覚えている。
今思えば、3代目のセダンのテールランプは丸4灯で7thスカイラインのパサージュに似ていたなあ。
成りは小さいが高級感いっぱいのローレルミニ:日産ローレルスピリット
スカイラインの弟分がラングレーならば、ローレルの弟分は1982年1月に登場したローレルスピリットである。
スピリット=精神とは言い得て妙な車名だが、非常にわかりやすい。今ならばローレル・ミニといったところだろうか。こちらもローレルの販売会社、日産モーター店のリクエストに応じて販売されたもの。
ラングレーはパルサーベースだったが、ローレルスピリットはサニーベースで、当時販売されていた4代目ローレルと同じ格子型のフロントグリルや高級感たっぷりのツートンカラーを採用して、サイズは小さいながらもローレルの雰囲気たっぷりだった。
インテリアもローレルと同じステアリングやモケット張りのシートを採用するなど徹底していた。明らかにベースとなったサニーとは一線を画していた。
サニーに搭載されていた1.3Lエンジンはラインナップされず、1.5Lエンジンのみの設定だった(後に1.7Lのディーゼルエンジンも追加)。
奇しくもラングレー、ローレルスピリットともに、バブル期には絶版となってしまった。世の中が豊かになってくるとホンモノが欲しくなるということか。
でもこのコンセプト好きだなあ、2トーンカラーも最近あまりみないし。小さな高級セダンのローレルスピリット、定年になったら欲しくなるかもしれない。
さて、2025年現在、「もどきカー」はあるだろうか? 読者のみなさん、もしありましたら教えてください。














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