高速道路などで起きる無自覚な速度低下。その背景には地形と人間の知覚特性がある。車速を一定に保つことは、ドライバーの感覚とクルマが発する情報の質に大きく左右される。当然、速度感覚はすぐに身につくようなものではないが、その経験値を得るには「どんなクルマに乗っているか」も重要だ。
文:中谷明彦/画像:BMW、ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】快適性、静粛性、そして直進安定性…… E38型BMW 7シリーズはプロドライバーが唸るほどの完成度だった!(12枚)画像ギャラリー道路は「変化」がたくさん!?
ドライバーの感覚と、クルマの完成度が試される瞬間は何度も経験してきた。高速道路を走っていると、ときおり「速度低下注意」と記された看板を目にすることがある。一見すると漠然とした注意喚起のようにも見えるが、実はこれらは明確な根拠に基づいて設置されている。
多くの場合、その先にはごく緩やかな上り坂が続いており、ドライバー自身が坂道であることに気づかないまま、同じアクセル開度を維持してしまうことで車速が徐々に低下していく。
そのわずかな速度低下が連鎖し、やがて交通の流れを乱して渋滞発生の引き金となる。地形学的な分析と、人間の知覚特性を踏まえた極めて合理的な警告なのである。
オートクルーズコントロールを使用していれば、こうした場面でも車両は淡々と速度を維持してくれる。しかし、すべてのクルマにその機能が備わっているわけではないし、搭載されていても使わないドライバーも多い。機能に頼らない場合、車速を維持する行為は、完全にドライバー自身の感覚と操作に委ねられる。
たとえば100km/hで走行しているとき、クルマは1秒間に約27.7m、ほぼ30m進んでいる。それが上り坂で90km、80kmと落ちていった場合、その差は秒速に換算すれば数m程度でしかない。
この変化を、感覚だけで正確に捉えるのは実のところ容易ではない。ロードノイズやタイヤのパターンノイズも車速が落ちれば微妙に変化する。
大事なのは絶対的な「速度」
しかし、それらの変化に常に神経を張り巡らせているドライバーは決して多くないだろう。車内では音楽を流し、景色を楽しみながら走る。それ自体は否定されるべきものではないが、速度を一定に保つという点においては、感覚が鈍りやすい環境に陥らせていることも事実だ。
私が常々勧めているのは、車速感覚を養うことである。ここで言う車速感覚とは、相対的な速さではなく、絶対的な速度感だ。片側一車線の高速道路を100km/hで走れば、誰もが強いスピード感を覚える。
ガードレールや路肩の流れは速く、道幅は狭く感じられる。一方で、片側3車線や4車線の広い高速道路では、同じ100km/hでも驚くほど遅く感じる。
人間の速度感覚は、視界の広さや周囲の流れによって容易に変化する。さらに、実際には緩やかな上り坂であるにもかかわらず、下り坂のように錯覚してしまう地形も少なくない。私のクルマに同乗したことのある人の多くは、なぜそんなに一定の速度で走り続けられるのかと驚く。
自分自身では、速度計を頻繁に凝視しているつもりはない。それでも、速度変化はおおむねプラスマイナス1km/h以内に収まっている。道路の広さや景色、勾配といった外的要因に左右されることなく、同じ速度を維持できているという自覚がある。
【画像ギャラリー】快適性、静粛性、そして直進安定性…… E38型BMW 7シリーズはプロドライバーが唸るほどの完成度だった!(12枚)画像ギャラリー














コメント
コメントの使い方