旧車でも最新BEVでも、ミニバンでもスーパーカーでも、クルマには必ずついている「タイヤ」。そのタイヤを日夜研究開発しているブリヂストンのテストコースをベストカー編集部ウメキが訪問し、開発ドライバーの凄腕を体感してきた!!
※本稿は2025年7月のものです
文:ベストカー編集部ウメキ/写真:ブリヂストン、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2025年8月26日号
「タイヤには一家言あり」と勇んで訪問したが!?
私、ベストカー編集部ウメキ、タイヤ関連の取材に携わって30年以上。時には試乗した感想を読者の皆様にお伝えすることもあります。
私ごときが「タイヤを評価する」などとおこがましい表現をする気もないのですが、それでもタイヤメーカーが精魂込めて開発した新商品を試し、読者にその感想を伝えるからには、極力中立的なものの見方で正確に伝える努力は怠れません。
一般道での試乗であれば走行ルートを決めているし、どの区間をどんな速度で走って、どんな乗り方をするか。自分なりの基準を作っているのです。
一定で走らせることの難しさを痛感
タイヤメーカーの開発現場では、近年ではシミュレーション技術が進化し、かなりの部分まで机上で開発を進めることができるようになりました。しかし、それでも最後は試作タイヤをテストコースで実際に走らせ、「官能評価」を経ての最終チューニングが必須なのだとか。
特に音や振動は数値では問題なくとも、実際に走ると「高周波の音が耳につく」だとか、「突き上げはマイルドだが収束性が悪く乗り心地に影響する」などのネガが表出することも。操縦性とのバランスなども評価ドライバーの官能評価が決め手となるのです。
栃木県那須塩原市にあるブリヂストンのプルービンググラウンドには55名の評価ドライバーがいますが、その第一歩は、「徹底的に同じ走り方ができること」だといいます。
サーキット状のコースを定められた速度のアップダウンや走行ラインに沿って走らせる。5ラップして標準偏差0.5未満のタイムで走る正確さが最低基準だそうです。
実際に体験しましたが、定められた区間で50→30→70km/hと速度を変化させることがこんなにも難しいとは! 速度コントロールやライン合わせに必死で、走り終えてもタイヤの印象なんて覚えてません、というか、そんな余裕なかったです。
この「モード走行」が余裕でできるようになって、やっと評価ドライバーの第一歩。操安性評価への道はまだまだ遠いことを思い知らされるのでありました。
コンスタントに同じ走り方をすることがなにより重要
テストコース内のドライハンドリング路を走るのだが、区間によって速度が指定されている。
例えばフルブレーキングで50km/hから30km/hに落とし、50mほど速度を維持したのち、いっきに70km/hまで加速する、といったモード走行が課せられる。
これを5ラップ、一定のラインで走りながらタイム差がほぼ生じない走り方ができて、初めて評価ドライバーの第一歩を踏み出せることとなるのだ。











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