経営統合が幻に終わった日産とホンダだが、両社の縁は別角度から深まるかも知れない。北米の日産工場でホンダ車を生産すると一部で報道されている。日産のピックアップをOEM供給するという形のようだが、はたしてどうなる!?
※本稿は2025年8月のものです
文:角田伸幸/写真:日産 ほか
初出:『ベストカー』2025年9月10日号
日産が自社のピックアップをホンダにOEM供給
経営統合では破談したホンダと日産だが、日本経済新聞が興味深い動きを報じている。日産の北米工場で、ホンダ車が生産されるというのだ。
話題の中心となっているのは、米ミシシッピ州にある日産キャントン工場。ここではアルティマに加えて中型ピックアップであるフロンティアを生産している。
ホンダが狙っているのはそのフロンティアだ。ホンダは現在、北米でリッジラインというピックアップを販売しているが、セミモノコック+FFというボディ構造もあってピックアップ市場に深く食い込めていない。
そこでラダーフレーム+FRのフロンティアを日産からOEM供給してもらうことで、市場拡大を計ろうというのだ。
この計画は日産にとっても都合がいい。現在、日産は世界的に商品計画を再構築している状況で、キャントン工場にも生産余力が生じている。ホンダ向けフロンティアはその「穴」を埋める絶好のオファーともいえるからだ。
もちろん関税の面でもメリットがある。税率こそ下がったとはいえ、依然日本車を輸出すれば15%の関税がかかる。「メイド・イン・USA」のフロンティアはこの点でもありがたい存在というわけだ。
今のところ、日産とホンダからこの話題に関する公式発表はなされていないが、今後、同種の連携は他社間でも起こりうる。
たとえばスバルは、2020年代後半に予定している北米でのEV生産について、今以上にトヨタとの連携を深めるのではなかろうか。マツダについても、アラバマ州にあるトヨタとの合弁工場のさらなる有効活用が注目される。
日本メーカーの変革は、まだまだ続きそうだ。

















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