2010年12月から2年間、限定500台のスーパーカーとして生産されたのがLFAだ。昨年、アメリカのオークションで、実走行距離504kmのLFAが165万ドル(約2億4000万円超)で落札されている。
新車販売当時、国内に割り当てられた165台のLFAを、レクサス販売店はどのように販売していったのだろうか。レクサス販売店で営業活動に従事していた筆者が、LFAの販売にまつわる話を紹介していく。
文:佐々木 亘/画像:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】いつ見てもかっこよすぎて惚れ惚れしちゃうぜ(13枚)画像ギャラリーかつて経験がないほどの高額車両
当時、レクサスラインナップの中で最高額のクルマは、1510万円のLS600hL後席セパレートpackageだった。LFAは、これを大きく上回る新車販売価格3750万円。特別仕様のニュルブルクリンクパッケージは4450万円にもなる。
トヨタ販売店から集められた経験十分の営業マンが集うレクサスセールスコンサルタントでも、これほど高額なクルマは誰も扱った経験がない。注文を受けるにも、クルマを納めるにも、営業マンにとっては初めてづくしの活動となった。
LFAを購入するための予約期間は、2009年10月21日のお披露目から、半年間の予定だったが、購入希望者が多く、半年を予定していた予約期間は4ヵ月で締め切られる。2010年4月に抽選を行い、国内でLFAを手にするオーナーが決められた。
無数の仕様を完全再現するミニカーが凄すぎる
LFAの販売方法は特別だった。特にレクサスの旗艦店、レクサス高輪で行われた商談は凄い。車両仕様を決める打ち合わせは、LFA専用の商談ルームで行われ、打ち合わせ後には食事を振舞い、その後は試乗、そして契約書への捺印という順に事が進んでいった。
LFAは仕様の数も凄いの一言。ボディカラーは標準色が10色でオプション色が20色、ステアリンググリップやシート、ドアトリムやセンターコンソールは各12色、ホイールは3種類、ブレーキキャリパーは6色など、内外装の組み合わせだけで、途方もない数の組み合わせになる。
まさに、世界に一つだけのLFAを作るべく、綿密な打ち合わせが続けられたのだ。
レクサス高輪での商談で使われていたのは、1/6の精巧に作られたLFAのミニカー。これは、プラモデルのように、シートやブレーキキャリパーなどは取り外すことができ、オーダー通りに組み上げることができる。その場でクルマの完成イメージを見ることができる、恐ろしい精度のサンプルカーだった。
最高のクルマを売り、最高のサービスを提供したい
スーパーカーLFAの存在は、販売店を悩ませる一面も持っていた。一部の販売店からは、LFAが購入されてから、一度も定期メンテナンスを受けずに、オーナーと連絡が取れなくなったケースがあると聞く。所有目的ではなく、投機目的で購入されたLFAも、中にはあるという事実だ。
実際に販売から10年以上が経過した現在、新車価格の6倍以上の値段でやり取りをされていることから、LFAによる投機は成功したということになるのだろう。
しかし、乗って楽しむクルマを、ただただ保管して価格が吊り上がるのを待つというのも、なんだかいたたまれない。職人が丹精込めて作り上げたLFAが走ることなく転々とするのは、車両販売に従事した者として寂しく思う。
最近は新車購入時の転売対策が盛んだが、それでも投機的な車両購入は後をたたない。LFAが2億円超で落札されたということに驚きがある一方、投機的な購入が一般流通車両でも続くのではないかという危機感も覚えるのだ。
クルマは動かして、乗ってナンボのもの。マネーゲームの対象となり、必要な人に届かない昨今のような状態が常態化してほしくはない。こうした投機の対象になるのは、LFAだけで十分だ。
















コメント
コメントの使い方投機対象でも税金払えば良くね?
社会貢献して最終的にプレミア価格で買った乗る人に渡るんだから。
ただ、稼いだ人間への妬みと僻みだろ?