今回、テリーさんにはアルファロメオ ジュニアに試乗していただいたが、走るほどに妄想がとまらない!! 2025年9月からは「メディア文化論」をテーマに大学で教鞭をとるそうだが、テリーさんの頭の中が何でもアリのメディアそのものだ!!
※本稿は2025年9月のものです
文:テリー伊藤/写真:西尾タクト
初出:『ベストカー』2025年10月10日号
そこはかとなく漂う色気がたまらない
当連載でアルファロメオに乗るのは久しぶり。まして、その小型車となれば思い出せないほど以前のことだ。あれはジュリエッタだったかミトだったか?
私はアルファロメオが大好きだ。オシャレだし、ロゴマークもかっこいい。ミラノ市の紋章と大蛇をモチーフにしたというロゴマークのデザイン、色合いは最高。このセンスのよさに日本車メーカーは太刀打ちできない。
今回乗ったのは最新のアルファロメオジュニアだ。全長4195mm、全幅1780mmのコンパクトサイズで、最近、大きくなりすぎているクルマに辟易している私には嬉しいサイズ。小さくてもアルファロメオらしい存在感を発揮しているのも素晴らしい。
エンジンは3気筒、1.2Lターボのマイルドハイブリッドで、これは以前に乗ったフィアット 600ハイブリッドと同じエンジン。プジョー 2008や3008、ジープ アベンジャー(ハイブリッドは日本未発売)などにも使われているステランティスの世界戦略エンジンである。
これがいい。性能が際立って優れているわけでもないのだが、普通に走ってストレスがないし、走らせる楽しさもある。まさに「必要十分」と言えるもので、これ以上大きな排気量はいらないと思わせる。
また、日本のハイブリッド車にはないダイレクト感のある乗り味で、今なお日本車と欧州車には明確な個性の違いがあることを実感する。
このクルマに乗っていると、圧倒的な強さで選挙を勝ち抜いた新人候補を思い浮かべてしまう。新人だけど名門の出で、社会での実績もある。それでいて親しみやすい人柄となれば人気が出るのも当然。しかもファッションのセンスもいいとなれば、女性からの人気も高まるというものだ。
1960年代のイタリア映画のような……
アルファロメオジュニアに乗ると妄想が止まらなくなる。選挙に勝つ新人候補だけでなく、イタリアでの一日だけの恋というラブストーリーまで思いついてしまった。
どういうことか。時々、自動車評論家が試乗記事の締めで「離れがたいクルマであった」などと書いていることがあるが、私にとってのアルファロメオジュニアは、まさにそういうクルマだったのだ。取材が終わり、クルマを返すのが残念。そんな気持ちになったのは久しぶりだ。
それを喩えて言うと、イタリアで知り合った女性と一瞬の恋に落ちて、乗り継ぎの便が出るその日の夜には別れなければならないという状況になるのだ。1960年代のイタリア映画を彷彿させるようなロマンチックな出来事。こんなことを想像させるクルマは、アルファロメオ以外にないのではないだろうか。
こういうクルマはヒットしてほしいと思う。ちょうどいいサイズ、エンジンパワー、WLTCモード燃費23.1km/Lの燃費性能、個性的なデザインに室内の広さも充分、そして何よりオシャレで個性的。こういうクルマが売れないで、健康サンダルみたいな日本の小型車ばかりが街にあふれてしまうのはどうなのか。
クルマに関心のない人たちはそれでいいと思っているし、日本のメーカーも売れるならそれでいいと思っている。だから日本でもアルファロメオのようなクルマが売れて、日本車メーカーに刺激を与えてほしいと思うのだ。
アルフォロメオ ジュニアの価格は420万円(ベースグレードのCORE)。車格を考えればもう少し安くてもいいような気もするが、絶望的に高価というわけでもない。それでもやはり「買うなら中古車かな?」という現実的な考えも浮かんでくる。
イタリア娘と恋に落ちても、それとおカネの話は別ということなのか。今のご時世、そういうシビアな展開もやむを得ないというものだろう。
●アルファロメオ ジュニア Ibrida コア(427万920円・6DCT)
2024年春に本国でデビューし、2025年6月に日本に導入されたコンパクトSUV。全長4195×全幅1780×全高1585mm、ホイールベース2560mm、車重1330kg。
システム出力145ps、WLTCモード燃費23.1km/Lの直3、1.2Lターボ+48Vマイルドハイブリッドと6速DCTを搭載するFF車で、BEVのエレットリカ(556万円)もラインナップする。



















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