安全重視の日本では自動運転にはかなり慎重で、その進歩はゆっくりとしたものだ。しかし2025年8月20日、テスラの日本法人が先進運転支援システム「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」の国内テストを開始。日本の自動運転はどうなる!?
※本稿は2025年9月のものです
文:角田伸幸/写真:テスラ
初出:『ベストカー』2025年10月10日号
自動運転の大きなターニングポイント
2025年のはじめ、テスラの先進運転支援システム「FSD(フル・セルフ・ドライビング)」についての話題をお伝えした。
バージョン13.2という仕様が、車庫からの発進や交差点通過までやってのけるという内容なのだが、2025年8月20日、テスラの日本法人が、このFSDの国内テストを始めたと発表した。
同種の技術は「NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)」と呼ばれ、中国ではテスラに限らず多くのメーカーが採用している。
一方、安全を重視する日本は導入に慎重だったのだが、仮にテスラが日本でFSDを解禁するとなると、大きなターニングポイントになることは間違いない。
改めてその機能だが、カーナビの目的地設定に連動する形で運転支援が作動する。クルマが縦列駐車されていればそこからの脱出に始まり、信号や標識の認識、交差点対応、自転車や歩行者の回避などをすべて自動で行うというものだ。
テスラはこのシステムをLiDARなどのセンサー類に頼らず、テスラビジョンというカメラベースのシステム+AIで処理している。AIはこれまで主流だったルールベースではない「E2E(エンドtoエンド)」型。自動運転に必要な「認知・判断・操作」を一気通貫で処理する最新のアルゴリズムだ。
これだけ聞くと「こりゃもう完全な自動運転」と思うかもしれないが、自動運転の段階ではあくまで「レベル2+」に留まる。ドライバーは常に前方に注意し、システムが作動しない時はすぐさま運転を引き継がなければならない。
FSDの導入費用などはまだ不明だが、これは話題になりそう。解禁を楽しみに待ちたい。

















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