マツダがリリースするロードスターの特別仕様車・マツダスピリットレーシング(以下MSR)が話題になっている。そこで注目したいのが特別仕様の限定車だ。過去には同様のクルマも存在し、現代でも人気を保っているケースもある。今回は、そんな“お宝モノ”限定車を見ていこう。
文:長谷川 敦/写真:トヨタ、日産、マツダ、三菱自動車、CarWp.com、Newspress USA
【画像ギャラリー】幻の限定車、再び!(19枚)画像ギャラリーMSRロードスター/12Rで注目の限定車って何?
マツダが合計2200台の限定生産を行うMSRロードスターとMSRロードスター12R。
MSRとは「MAZDA SPIRIT RACING」の略であり、その名のとおりマツダがレース活動で培ったノウハウを投入したロードスターのスペシャルモデルだ。
ひと言で限定車といっても、自動車メーカーが販売する限定車には多彩な仕様があり、MSRロードスターのようにレースにルーツを持つものばかりではない。
なかには標準モデルより豪華な仕様だったり、あるいは特別な外装色を持ったモデルだったりする。
つまり、標準とは異なる数量限定生産のモデルを広く限定車と呼ぶが、今回はコンペティションやスポーツ性を重視した限定車をピックアップしていくことにする。
難攻不落、名サーキットの名を冠す
●トヨタ GRMNヤリス
近年はWRC(世界ラリー選手権)で華々しい実績を残しているトヨタ。
WRCにはコンパクトカーのヤリスをベースにしたモデルで参戦しているが、その市販バージョンはGRヤリスの名称で販売されている。
ヤリスベースといっても、実態はラリーのホモロゲーション(公認取得)のために製造されたクルマであり、大部分が通常のヤリスとは別物といってよい。
そんなGRヤリスの特別限定車がGRMNヤリスだ。
車名のGRMNは「GAZOO Racing tuned by Meister of Nürburgring」を意味し、最後のNürburgringは、ドイツのサーキット・ニュルブルクリンクを指している。
これは、GRMNヤリスの開発においてニュルブルクリンクでのテストが重要だったこと、そしてトヨタテストドライバーでマスターの称号を持つ成瀬 弘氏に敬意を表していることが理由だ。
ニュルブルクリンクはオンロード(舗装路面)のサーキットであり、GRMNヤリスは、悪路を走るラリーだけでなく、オンロードレースでも戦えることを想定して開発が行われている。
実際にGRMNヤリスでは、ベースグレードに加えてオンロードコースでの性能を追求したサーキットパッケージが発売され、さらにベースグレードに販売店が装着するオプションのラリーパッケージも登場している。
2022年に500台限定で販売されたGRMNヤリスは当然ながら完売し、現在は中古車であっても800万円以上の値がつくことがある。
●日産 スカイラインGT-R VスペックII Nur(2002年)
車名にニュルブルクリンクの名を冠したモデルはGRMNヤリスのほかにも存在するが、そのなかでも著名なのが、日産から2002年に発売されたスカイラインGT-R VスペックII Nurだろう。
Nurはもちろんニュルブルクリンクを指し、GT-Rの走行テストがこのサーキットで行われたことにちなんでいる。
スカイラインGT-R VスペックII Nurは、スカイラインのGT-Rとしては最終モデルにあたるR34型をベースにしていて、そのR34型のなかでも最後の特別仕様になった。
正確には走行性能を高めたVスペックと、上質感重視のMスペックが同時に発売されているが、いずれにせよ最後のR34型特別仕様であることに違いはない。
VスペックII Nurの特徴はN1レース仕様のエンジンが搭載されていることで、専用のエンジンブロック、ピストン、コンロッドを使用し、組み付け精度もレースレベルにまで高められている。
エンジン、そしてデフを専用ディフューザーで覆うなど、空力チューンナップにも抜かりはない。
当初は300台限定といわれていたこのVスペックII Nurだが、注文が殺到したために最終的には1000台に増やされた。
2002年に発売されたVスペックII Nurは、販売開始から23年が経過した現在でも高い人気を保ち、極上程度の中古個体には数千万円の価格がつけられている。






















コメント
コメントの使い方「持ってる」と「乗ってる」なら自慢になるが、「持ってた」はなりません。