飛行機と自動車。同じ「乗り物」というジャンルではあるが、かたや空、かたや路上と生息域は別世界。しかしレクサスが「空のF1」エアレースXに挑むのは、空で得た技術をクルマへと還元するため。だからレクサスは今日も大空を舞う!!
※本稿は2025年9月のものです
文:大音安弘/写真:(C)Miho Harada PATHFINDER、大音安弘、レクサス
初出:『ベストカー』2025年10月26日号
「空のF1」エアレースが大阪の中心街を舞う!
空中のモータースポーツ「エアレースX2025」の最終戦が、2025年9月6日、大阪駅そばの「グラングリーン大阪」にて開催された。
同大会は、最高速度400km、最大重力加速度12Gの極限の条件下で、レース専用の小型機によるタイムと正確さを競う。特徴的なのが、AR技術の活用。スマホやタブレットを使うことで、会場上空でリアルにバトルが行われているように観戦できるのだ。
実際の飛行は、世界各地の参戦チームの拠点で実施され、高精度のデータを記録。そのデータを合成することでバトルは可能となる。そのため、事前に予選から決勝までを想定した4種類のフライトを遂行。勝敗は選手にも大会当日まで明かされず、リアルレース同様の緊張感をも味わえる。
会場には、初戦優勝の南アフリカのパトリック・デビッドソン選手と、2戦目優勝の室屋義秀選手が来場し、最終戦とシリーズ優勝の行方を見守った。
決勝当日のうめきた公園の上空にスマホをかざすと、巨大なパイロンによるバーチャルコースが出現。観客が画面上に出現する2機のレース機を追いかける姿は不思議な光景だが、それほど夢中になれる迫力がある。
決勝は、室屋選手とパトリック選手の対戦。会場内のパブリックビューイングで、両選手がレースの行方を見守る姿に観客たちも手に汗を握る。惜しくも室屋選手が2位となり、2025年のチャンプは、1位のパトリック選手となった。
応援していた「レクサスパスファインダーエアレーシング」に携わるレクサスの技術者たちは、非常に悔しそう。レクサスの技術者でテクニカルコーディネーターの中江雄亮氏は、「悔しいが、新たな課題も見えて大きな成長に繋がる」と強い意気込みをみせた。
レクサスとの関係について室屋選手は、「レクサスの技術支援で、マシンとの一体感が得られたのは大きい。ただライバルの成長も早く常に厳しい戦い。来期の優勝に向け全力で取り組む」と闘志を燃やした。
2026年の開催も決定しており、少なくとも4戦が行われるので非常に楽しみだ。
空で得た知見をクルマへと移植
LCの特別仕様車「PINNACLE」は、室屋選手のレース機の技術支援で得た空力知見を取り入れたエアロパーツが特徴。今後は得られたさまざまな成果を、レクサス車全体の進化に繋げたいとしている。
技術支援には、レクサスの多くの技術者が携わっている。異世界となる航空機のレースへの挑戦は、まさに発見や驚きの連続であり、技術者のモチベーションアップにも繋がっている。


















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