9カ月でEVを完成させたSCSK
各社の出展概要リリースをくまなく見るなかで、筆者が驚きをもって受け止めたのが、SCSKというソフトウェア専業会社が世界初として発表するEVモデルです。この車両はSDVの流れに基づき、ソフトウェア企業が主体となるまったく新しい開発手法で生み出されます。
驚きは2点あり、第一にわずか9カ月で車両を完成させたこと、第二に西館ホール1という完成車の展示スペースに割って入り、日産ブースの隣に堂々と展示する点です。
過去にも、素材会社や電子部品などのサプライヤーが考案したコンセプトモデルの展示は多くありましたが、動くことができてもモックアップの域を出ない展示車でした。
ところが、今回のSCSKのEVモデルは量産レベルのプロトタイプであることが推察され、その本気度に強い関心が湧き上がります。
いかなるアプローチを基に9カ月で開発を完成させたのか。中国の開発スピードは20~23カ月で完了するといわれ、その後のアップデートを含めた更新スピードに、日本の自動車メーカーは追随する能力をまだ確立できていないと見ます。
ソニー・ホンダモビリティは、会社設立から4年でAFEELA1を製造・販売するところまでこぎ着けようとしています。それ自体は高く評価すべきですが、やはり48カ月の開発リードタイムの間に、SDVの更新サイクルは何周も先へ進んでしまいます。
SCSKは、このプロトタイプを基に、いかなるビジネスモデルを想定しているのでしょうか。ソフトウェア会社が主導する開発システムの知見を国内自動車メーカーのSDV開発にフィードバックし、挽回に寄与したいという同社の熱意は充分に読み取れます。
ただ、今回開発したプロトタイプが単なる研究素材としてはあまりにも費用が膨大です。製造会社やサービス会社と連携し、カンパニーカーやモビリティサービス車両などでの社会実装もあり得るでしょう。これは、ソフトウェアの「ティア0.5」企業が生まれることを意味します。
クルマの「つくり方」をソフトウェア起点で再定義するという発想こそが、この取り組みの本質だと考えます。伝統的なモノづくりのしがらみのないソフトウェア企業が、高い志でその役割を買って出る。
国内の自動車産業は、過去の栄光のプライドをいったん横に置き、そこからの発見を真摯に見つめ直す必要があるのではないでしょうか。

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