自動車業界の垣根を超え、モビリティの未来を考える経団連のモビリティ委員会。2年前にモビリティ産業の喫緊の課題を「7つの課題」とし、議論を深めてきたが、10月22日にその進捗が報告された。
文/写真:ベストカーWeb編集部
【画像ギャラリー】クルマ社会の問題をみんなで解決!! 今、解決したい「7つの課題」どんなのがある?(3枚)画像ギャラリー米中貿易対立から不透明感が増す半導体についても議論された
モビリティ産業「7つの課題」は表にあるとおりだが、今回は特に半導体の安定調達と日本の電池エコシステム構築、カーボンニュートラル(CN)燃料の早期実装の3点について議論が交わされた。
今回は経済産業省の製造産業局長伊吹英明氏も議論に加わり、オンラインを含めると120社300人以上が参加した。
経団連のモビリティ委員会は2022年6月に誕生。エネルギーや金融、商社、航空や鉄道といった自工会メンバー以外も数多く参加しており、すそ野の広いモビリティ産業が抱える課題を、多様なメンバーで議論されることが特徴で、ひとつの課題を広く深く掘り下げていくことが可能だ。
モビリティ委員会は3人の委員長が共同で務めている。自工会の片山正則会長(いすゞ自動車会長)、経団連の佐藤恒治副会長(トヨタ自動車社長)、日本自動車部品工業会の茅本隆司会長(日本発条会長)の3人で、会議後記者たちの囲み取材に応じた。
片山委員長は来年4月を目標とする半導体データプラットフォームの構築、自動車と製造の双方を理解するエンジニア不足、半導体競争力の強化という3つの主要課題をについて意見交換をしたとした。
特に国産のレガシーとなるアナログ半導体は調達リスクや作り手の負担が大きくなっていることからサプライチェーン間の半導体のデータプラットフォームの構築が不可欠と話した。
自動車部品業界の立場から茅本委員長は、この2年間、自動車業界と2週間に1回の頻度で緊密に意見交換を続けてきたことを説明し、半導体問題などさまざまな課題に、サプライヤーとして一体となって取り組み、サプライチェーン全体の強化を目指す姿勢を強調した。
佐藤委員長は「スピード感を持った行動」と「実装」の重要性を強調。エコシステムのような概念的合意にとどまらず、今回の会議では具体的なテーマを一つずつ実践段階へ移す共通理解ができたと感想を述べた。また、レアアースなど資源確保では官民連携によるサプライチェーン可視化の重要性を指摘した。
会見で片山委員長が改めて強調していたことだが、日本のモビリティ産業の競争力強化には自動車産業単独では限界があり、産業界全体の協力と官民の協力が不可欠ということだ。カーボンニュートラルや国産電池、半導体の開発、レアアースなど重要な資源の安定調達、クリーンエネルギーの競争力強化など、どれもが産業界すべてに関わってくる課題だ。
一方で茅本会長の話にもあったが、自動車業界と部品業界がひとつになって半導体問題に取り組んでいるのは頼もしい。
来日するトランプ大統領と高市新首相への期待は?
記者からはトランプ大統領の来日や高市政権についての質問も出た。
片山委員長はトランプ大統領と高市首相が未来志向のいい話し合いが行われるはずと、関税問題がひと段落着いたいま、両国の産業発展につながる会談ができることを期待したいとした。
関税問題を問われた佐藤委員長は米国で生産したクルマを日本に輸入する案も選択肢の一つだが、日本向けに新たな装備を付けるのは非効率で、そのまま輸入できるよう、規制や基準の整備を国に求めた。
課題解決に多くの業界が知恵を出し合うモビリティ委員会、モビリティ産業の課題は我々クルマ好きが未来も楽しくモビリティに乗るための課題でもあり、成長するために避けては通れないものだ。





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