登録車における世界初の量産電気自動車として登場した日産 リーフ。2025年10月、その新型リーフの国内仕様モデルが発表された。ハッチバックスタイルからクロスオーバーへと生まれ変わった3代目リーフを松田秀士氏が試乗&解説!!
※本稿は2025年10月のものです
文:松田秀士/写真:平野 陽、日産
初出:『ベストカー』2025年11月10日号
お待たせしました! 新型日産 リーフ国内仕様発表
●新型日産 リーフの注目ポイント
・78kWhバッテリーを積むB7モデルの一充電走行距離は最大702km(WLTC)
・クルマ全体の冷熱システムを一括制御するシステムを採用し、クルマの熱を最大限に活用
・ナビと協調して走行ルートに応じてバッテリーを調温。エネルギー消費を最適化する
・バッテリーシステムなど大きな進化を果たしたが、Xグレードは先代を下回る価格を実現
EVにとって電費は命。そのためのベストなフォルムがあるという。クロスオーバースタイルとなった新型リーフの、ルーフからリアエンドにかけ17度というファストバック傾斜角が、まさにそれ。
さらにフロント先端の尖り過ぎない適度な丸み、電動格納式フロントドアハンドル。
F1マシンのようなフルアンダーカバーには、フロントタイヤへの空気を整流する大型の3Dディフレクターを備え、工具なしで着脱できるジャッキポイントカバーにリアサスカバーと、徹底的に空気抵抗を軽減。フロント開口部にはラジエターへのエアシャッターも備える。
これらによって空気抵抗係数(Cd値)は0.26を達成。78kWh容量のバッテリーを持つB7の航続距離は最大702kmと大幅に進化している。
この航続距離達成の裏には、クルマの冷熱システムを統合した熱マネージメントシステムの進化がある。
旧型では室内のみに使われていた空調システムを、バッテリー、パワートレーンと連結させ統合制御。熱を無駄にせず、特に冬場に悪化する電費を効率化している。
また、ナビがグーグルマップになり、行き先をセットすれば日産コネクトサービスアプリと連動して、電池残量から適切な充電スポットをディスプレイに表示。
新開発のリチウムイオンバッテリーは150kWの急速充電器に対応しているので、高出力急速充電器の情報も表示し、そのエリアに近づくとベストなバッテリー温度に自動調整。これによって充電時間を短縮することができる。
ちなみに技術開発センターのある厚木から加古川(兵庫県)の往復1000kmを、休憩・食事のたった3回の急速充電(30分未満)で走破したとか。10時間45分で走破しているので平均速度は約93km/h。
筆者もEVでの高速長距離ドライブは何度も経験しているが、EVは80km/hを超えると著しく電費が悪下する。その点、この数値は高く評価できるものだ。
走って実感。新型リーフの大きな進化
新型リーフのプラットフォームはアリアのものを使っている。これによってリアサスがマルチリンクとなり、乗り味がガラッと変わった。
旧型よりバネレートは固められているが、乗り心地はソフトでラグジュアリー。特に後席の座り心地、乗り心地は旧型比で月とスッポン!
EVパワートレーンは主要な3つのコンポーネントを一体化した3-in-1となり、ハウジングを高剛性化。モーターローターを6分割斜め構造としたことなどにより、振動感のない非常に滑らかな加減速だ。
もちろんスポーツモードにセットしてアクセルを踏み込めば、4%アップした36.2kgmのトルクでのけぞるような加速も体験できる。
全長は先代から45mm短く、よりコンパクトに。特にフロントオーバーハングが削られ、ホイールベースも短縮されて舵角も増えたことなどから、取り回しもよくなった(車幅は20mmワイドの1810mm)。
それでも室内は広く感じられ、特に助手席足元が広くなり、運転席から平行移動も可能だ。EV専用プラットフォームになったことでセンタートンネルの出っ張りがなくなり、後席足元もフラット。シートを含めインテリアの高質化も目立つ。
また、調光パノラミックガラスルーフは遮熱性能が格段に進化していて、シェードがないぶん頭上の広さを感じる。調光コントロールも全面のON/OFFではなく、数段階にコントロールできるのが嬉しい。
テストコースでの限られた時間の試乗だったが、新型リーフが大きく進化したのを感じた。高速直進時、ステアリングに微小舵を入れた時の緩いフロントのロールからのレーンチェンジ。ステアリングの修正もなくスッと隣の車線に移動する素直さ。
バッテリー容量をむやみに大きくして、パフォーマンスと航続距離を誇示するEVが多いなか、効率を徹底的に追求した新型リーフに拍手!






























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