消滅することが「ほぼ」確定的なエンジン車。中高年の中には「エンジン車が無くなったらクルマ降りる!」という人もいるだろう。そこで、エンジン車を愛する人が「最後の恋」をするにふさわしいクルマを小排気量ターボ車から選んでみた!!
※本稿は2025年10月のものです
文:清水草一/写真:スズキ、ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2025年11月26日号
最後に恋するエンジン車……スズキ ジムニー(3気筒660ccターボ)
ジムニーのエンジンは、スズキのほかの軽自動車と同じ660ccターボの64ps。特別な部分は皆無だし、むしろほかのモデルより車体が重いぶん、パフォーマンスは削がれる。
しかしジムニーのMTモデルを走らせると、内燃エンジン車を操るヨロコビに満ちてくる。
操縦安定性も直進安定性も静粛性も乗り心地も何もかも、決して優れてはいないが、だからこそ、このプリミティブなクルマを、エンジンだけの動力で、MTを操って走らせるという、深い満足感が得られる。
スズキの軽において、ジムニーのほかにMTの設定があるのはワゴンRだけ。ワゴンRのMTも楽しいし、一般道での性能はジムニーより上だが、やっぱりジムニーは格別だ。それは、オフロード性能実質世界一という勲章がもたらす自己満足ゆえである。
他社の軽では、コペンとN-ONEにMTモデルがあるが、ジムニーがもたらすヨロコビにはかなわない。コペンやN-ONEには、世界一の部分がないからだ。中高年のクルマ好きが、最後に恋するエンジン車が、なにかしら世界一であれば言うことナス!
ジムニーのエンジンは、まったくもって普通だが、世界一の称号とともに、色即是空にエンジン車のヨロコビを味わうことができる。ただしMT限定。トルコン4ATじゃムリ!
最後に恋するエンジン車……スズキ スイフトスポーツ(4気筒1400ccターボ)
スイフトスポーツはすでに生産が終了していて、在庫車のみの販売だ。しかしまだ新車が買える可能性はあるし、中古車なら山ほどある。
このクルマの1.4リッターターボは傑作だ。小排気量ターボらしく、低中速域でのトルクの盛り上がりが素晴らしく、日常的に「グイーン!」という、ターボらしい加速が味わえる。
そのぶん、高回転域の伸びはいまひとつだけど、高回転域なんて、そうそう使うもんじゃない。スイスポのエンジンは、フツーに乗って想像以上の快感が味わえるので、実に中高年向きなのである。
当然MTが人気だが、スイスポの場合、6ATでも充分楽しい。むしろ気楽に乗れるぶん、こっちのほうが日常的な快楽度は高いかもしれない。これまた中高年にとってハードルが低くてありがたいぜ!


















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コメントの使い方コペンには世界最小の電動オープンという世界一があるのでは